2006 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴ラマン分光法を用いたアレンオキサイド合成酵素の反応機構の解明
Project/Area Number |
04J02309
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
當舎 武彦 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | アレンオキサイド合成酵素 / 共鳴ラマン / チトクロムP450c21 / 不安定中間体 / 金属錯体 / フェリチン / 酵素反応機構 / ヘム |
Research Abstract |
本年度は、一年次および二年次に得られた結果の成果報告を中心に研究に従事した。その結果、「11.研究発表」に示すとおり、珊瑚由来アレンオキサイド合成酵素((AOS)の構造機能相関に関する研究結果を米国生化学会誌であるThe Journal of Biological Chemistry誌に発表できた。また、同じくヘム酵素であるチトクロムP450アロマターゼ(P450arom)の研究に関しても、米国化学会誌であるBiochemistry誌に発表することができた。その他、国内外問わず行ってきた金属錯体を用いた金属酵素モデルの研究に関しても、世界の一流ジャーナルに結果を報告することができた。 研究成果の報告に加え、cAOSの研究に関しては、種々の変異体を作成、機能および構造評価を行ったところ、ヘムの近傍に存在するアスパラギン137がcAOS固有の酵素機能に必須であることを見出した。本結果は、cAOSにおいて未だ未解明である酵素反応機構を理解するために極めて重要な結果である。 昨年度から着手しはじめたヘム酵素であるチトクロムP450c21(P450c21)の研究においては、不安定反応中間体である酸素体の共鳴ラマン測定に成功し、鉄に配位した酸素分子の環境が基質の構造に敏感であることを発見した。本結果は、P450における酸素の活性化メカニズムを理解するうえで、有用なデータであり、現在、速報の形で投稿論文を作成中である。 また、本年度は、米国・オークランド子供病院研究所のElizabeth C.Theil教授の研究室に赴き、金属蛋白質の発現方法について学ぶとともに、非ヘム鉄蛋白質における酸素との反応機構に関する研究も行った。実際には、鉄貯蔵蛋白質であるフェリチンの鉄取り込み機構に関する研究を行い、フェリチンに特有な鉄の配位子の鉄取り込み過程における役割を提案することができた。 以上、本年度は、研究計画にあげたcAOSの酵素反応機構の解明だけにとどまらず、多岐にわたる研究対象に対し、それぞれ有意義な結果を得ることができた。
|