2004 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける葉の極性分化・生長の遺伝的制御機構に関する進化発生学的解析
Project/Area Number |
04J02336
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
山口 貴大 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員PD
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Keywords | イネ / 葉 / 発生 / 極性 / PHABLOSA / KANADI / YABBY / ROT4 |
Research Abstract |
本年度は,イネの葉の極性分化・生長を解明するために,いくつかの鍵となる遺伝子群に着目し,それらに関する基礎的解析を行った.着目したのは双子葉植物のモデル植物において,葉の極性分化・生長を制御することが明らかにされている遺伝子群であり,具体的には葉の表側決定を制御するPHABULOSA (PHB)様遺伝子群,葉の裏側決定を制御するKANADI (KAN)様遺伝子群およびYABBY (YAB)様遺伝子群,そして葉の縦方向への生長を制御するROTUNDIFOLIA (ROT4)様遺伝子群である. まずこれらのイネ相同遺伝子をデータベース検索により全て同定し,いくつかの代表的遺伝子について,RT-PCR法によりクローン化した.次にRT-PCR法による発現解析を行い,これらの遺伝子群はイネにおいても葉の発生過程中に発現し,その形態形成過程において何らかの機能を果たしている事を明らかにした.また,PHB様遺伝子群についてはin situハイブリダイゼーション法により時間的・空間的発現パターンを解析し,イネにおいても表側に特異的な組織分化に関与している可能性を明らかにした. 次にこれら遺伝子群のタンパク質機能の保存性を検証するために,シロイヌナズナにおいて,これらのイネ遺伝子群を構成的に発現させた植物体を作成し表現型を解析した.その結果,これら遺伝子の構成的発現体の表現型は,シロイヌナズナにおける相同遺伝子群の構成的発現体の表現型に非常に類似しており,タンパク質レベルでこれら遺伝子群の機能が保存されていることを示すことに成功した. 現在イネにおけるこれら遺伝子群の詳細な発現観察および構成的発現体を作出しており,これらの解析から,イネにおける葉の極性分化・生長機構さらには形態進化をもたらした遺伝的背景について明らかにできる物と考えている.
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