2004 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術社会論と技術者倫理学を統合するための科学哲学的研究
Project/Area Number |
04J02344
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
杉原 桂太 南山大学, 社会倫理研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 技術者倫理 / 技術倫理 / 工学倫理 / 科学技術倫理 / 科学技術社会論 / STS / 技術者教育 / 工学教育 |
Research Abstract |
今年度は、工学教育と技術者教育のあり方の比較検討と、技術者倫理事例の科学技術社会論による分析を中心に研究し、その成果を論文および共著書として発表した。 1.『科学技術社会論』第3号に掲載された論文では、これまで工学教育が学問の伝授として行なわれてきたのに対し、技術者教育では専門職の育成が必要になり、専門職倫理である技術者倫理の教育が重要になることを指摘した。さらに、技術者倫理教育に科学技術社会論が必要なことを、技術者倫理のあり方をその成立期から近年まで詳しく分析することで明らかにした。 2.International Conference on Engineering Education and Research "Progress Through Partnership" CD-ROMに掲載された論文では、専門職倫理として技術者倫理を提示する導入教育の実践例を紹介した。 3.『社会と倫理』17号に掲載された論文では、技術者倫理の典型事例を、科学技術社会論を用いて社会的文脈に位置づけて検討した。そこから、公衆の安全・健康・福祉という技術者倫理の理念を技術者が実践するには、閉ざされがちな組織構造に外部の視点を導入することによって、事故につながる技術的逸脱を標準化してしまわないようにすることが重要だと指摘した。 4.『誇り高い技術者になろう』で担当した章においては、有名事例の科学技術社会論による分析を教材化し、公衆への責任を技術者が果たすためには、日常的な業務の中に潜んでいる技術災害に繋がりかねない事項の芽を摘んでおくことが重要である、という知見を紹介した。 今年度の補助金は、これらの研究を遂行するために、技術者教育・技術者倫理学・科学技術社会論にかんする文献購入費、論文を発表する学会参加のための旅費、研究の成果を蓄積するコンピュータのための設備備品費に主に当てられた。
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Research Products
(4 results)