2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J02470
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中谷 直史 徳島大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マイオスタチン / フォリスタチン / 筋ジストロフィー |
Research Abstract |
研究目的 筋肉の、再生、補強作用を持つ物質の開発は、筋肉ジストロフィーをはじめとする先天性の筋肉疾患の治療を考える上で非常に重要である。MyostatinはTGFβスーパーファミリーの一員で、生体内において筋肉の量を負に調節する因子と考えられている。Myostatinの作用を制御することで、骨格筋量を増大させ、筋力を増強させることで多くの筋疾患の治療に応用することを目的とする。現在Myostatinの阻害物質として明らかになっているのは、Follistatin(FS)、FLRG(follistatin-related gene)、Myostatin propeptideである。このうち、FSに注目し、サイトカインとの結合性を変化させるプロテオミクス創薬の手法を用いて、Myostatin特異的阻害分子を開発し、臨床応用を目的とした基礎的研究を行う。 研究方法 これまでに作製した、FSを改変したMyostatin特異的阻害分子を用いて、遺伝子改変動物を作製した。作製したマウスを、分子生物学的、筋組織病理学的に解析を行った。さらに、様々な筋ジストロフィーモデルマウスと交配実験を行った。また、作製したマウスを用い脂肪組織の研究を行った。 研究成果 FSキメラ1過剰発現マウスにおいて、病理学的解析から明らかな筋肥大を確認し、加えて、ローターロッド、ワイヤーハング実験を行い運動機能の増加を明らかにした。また、mdxマウスとの交配実験により、FSキメラ1を作用させることで病状の改善効果があることを明らかになった。また現在進行中であるがマイオスタチンを阻害することで発現量の変化する遺伝子が明らかになった。これについては、さらに解析を進め筋肥大の分子的メカニズムの解明を進める。 作製したマウスでは著しい脂肪組織の減少が確認された。病理学的解析結果から、脂肪組織中の脂肪細胞の大きさが小さくなっていることが明らかになった。また、このマウスは内臓脂肪の蓄積が抑えられており、肥満になりにくい性質を持つことが分かった。 以上の結果より、作製したFSキメラ1分子は先天性の筋疾患治療薬としてだけではなく、生活習慣病の予防のための新しい予防薬として有効であると考えられる。
|