2005 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼系における放射性核種を活用した物質循環及び環境変動解析に関する研究
Project/Area Number |
04J02574
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂口 綾 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 湖沼堆積物 / バイカル湖 / ウラン / トリウム / 琵琶湖 / 年代測定 / 古環境 |
Research Abstract |
本研究では、バイカル湖アカデミッシャンリッジ(53°44'46"N,108°24'38"E)において1998年9月に採取した柱状堆積物試料VER98st6(約10m)を用いた。この柱状堆積物試料は、酸素同位体比ステージ7(B.P.230ky)までカバーしており、中川ら(2000)によって有機物含有量、炭酸塩含有量、Bi-SiO_2含有量測定、粒径解析が行われている。今回、U・Th同位体および化学的情報を得るため、全分解・逐次抽出後(炭酸塩、Fe-Mn酸化物、有機物、Bi-SiO_2、残さフラクション)U・Th同位体の化学分離・α線測定(^<238>U,^<234>U,^<232>Th,^<230>Th,^<228>Th)、AESによる安定元素の測定を行った。また、同様に採取したVER98st5の特徴的な3試料A(氷期、低Bi-SiO_2/低^<238>U含有量)、B(間氷期、高Bi-SiO^2/高^<238>U含有量)、C(間氷期、高Bi-SiO_2/中^<238>U含有量)を用いてOMS、XRD、XRF、SEM、FE-TEM分析も併せて行った。 U濃度及び^<234>U/^<238>U放射能比(n=57)はそれぞれ62.5-402.9mBq/g、1.00-1.92の広い範囲で変動し、これら変動は自生性Uの吸着割合に起因することがUの識別から明らかになった。また、この自生性Uの変動に関して一部(B.P.130ky)を除き、Bi-SiO_2含有量と非常によい対応が見出された。しかし逐次抽出実験の結果、Bi-SiO_2フラクションへのU濃縮は確認されず、バルクUの61.5-86.1%という高い割合で炭酸塩およびFe-Mn酸化物フラクションに抽出されることがわかった。また、成長・崩壊した自生性U・Th成分を^<232>Th濃度で識別し^<238>U-^<234>U、^<238>U-^<230>Th堆積年代測定法を用いることにより、簡便にこのコアの堆積速度を試算できた。現在、UとBi-SiO_2の関係を中心に分析結果を集約・検討中である。
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Research Products
(4 results)