2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫による植物の形態操作の機構への実験生態学および分子遺伝学からのアプローチ
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04J02600
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
徳田 誠 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゴール / エゴノキ / エゴノネコアシアブラムシ / 形態操作 / 生物間相互作用 |
Research Abstract |
ゴールは昆虫や微生物などにより植物体上に形成される構造であり、生きた植物細胞から形成されている。昆虫によるゴール形成のメカニズムについては、非常に興味深いにも関わらず、ほとんど研究がなされていない。本研究では、エゴノキ-エゴノネコアシアブラムシの系を対象として、表現型レベルおよび遺伝子レベルからの相補的なアプローチにより、ゴール形成のメカニズムを明らかにすることを目的として取り組んだ。この系では、ゴール形成途中で虫が死亡した場合に、そこから花が誘導されること、その花はしばしば八重咲きになることが知られている。そこで、野外でのゴール形成過程を詳細に観察・記載するととも、組織切片の作成によつて、組織学的な分化過程の詳細についても記載した。さらに、薬剤処理により、幹母を様々な段階で排除し、その後誘導される構造を観察した。その結果、遅れ花は、幹母定着後1-8日目にかけて高頻度で誘導されるが、14日目以降になると花は誘導されず、アブラムシが死亡した時点で発生が停止してしまう事が明らかになった。また、遅れ花の表現型変異を解析した結果、エゴノキの花芽分化に関与する遺伝子の過発現を想定すれば、すべてのパターンが説明可能である事が判明した。以上の結果から、アブラムシの刺激により、幹母定着後、1-8日目にエゴノキの花芽形成に関与する遺伝子の発現が誘導され、14日目頃までに、ある特定の段階で遺伝子発現が中断することにより、ゴールが誘導されるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)