2005 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレート堆積土の力学特性と燃料ガス採取に伴う海底地盤の変形特性の評価
Project/Area Number |
04J02627
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
香月 大輔 独立行政法人産業技術総合研究所, メタンハイドレート研究ラボ, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタンハイドレート / 堆積物 / 結晶成長 / 分解 / 力学特性 / 変形 / ガスの浸透 |
Research Abstract |
本研究は以下の諸課題により構成される。 1.孔隙内のメタンハイドレート(以下、MH)の産状を模擬した堆積物の力学特性 2.個別要素法に基づいた力学試験の数値シミュレーション 3.地盤の変形の解析 4.ガスの浸透が地盤の安定性に与える影響の検討 上記全ての課題の共通基盤的な研究要素として、模擬堆積物の作製や地盤モデルの構築などに際し物理的に重要となる堆積物の孔隙スケールでのMHの産状やその分解過程を解明することが重要である。そこで、堆積物断面を模擬した石英ガラス製のマイクロモデル内でMHを生成させ、MHの結晶成長やエイジング(経時変化)などの産状に関する現象およびMHの分解過程についてその場観察を実施した。産状に関しては、MH結晶の結晶成長駆動力に関与する過冷却度依存性について整理された。結晶成長駆動力の低下に伴って、エイジング収束後のMH結晶はガラスの壁面とより密に接触し、セメンテーションの強さは増加すると推察された。 MHを生成させた模擬堆積物の作製が可能になったことから、孔隙内のMH産状と力学特性の関係を明らかにするため、MH生成時の結晶成長駆動力を変化させたMH模擬堆積物を、温度制御が可能な高圧三軸圧縮試験装置のセル内で作製し、せん断試験を行なった。その結果、MH生成時の結晶成長駆動力の低下に伴って、せん断強度および変形抵抗は増加し、その場観察の結果と対応することがわかった。また、MHの分解に伴う堆積物の変形挙動は、分解時の有効応力に依存する傾向が認められた。得られたこれら重要な知見は、堆積層の構造に関するモデル等に反映され、孔隙内のMH結晶の物理的特性を適切に踏まえた数値シミュレーションや変形解析の実施に寄与した。さらに、ガスの浸透を受ける地盤の安定性を模型で検討し、均質な砂質地盤内では堆積面と水平方向のガス浸透により顕著な変形が生じる可能性は低いことがわかった。
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