2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜動輸送の動的な変化によるNotch情報伝達系の制御機構の解析
Project/Area Number |
04J02788
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
堀 一也 東京理科大学, 基礎工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Notch情報伝達系 / Deltex / Drosophila / membrane trafficking |
Research Abstract |
Notch情報伝達系は、細胞間相互作用を介して細胞の運命を決定する、進化的に保存されたメカニズムである。Notch受容体は、リガンド(Delta、Serrate)との結合によって活性化されると、膜貫通ドメイン内で切断を受け、細胞内ドメイン(N^<ICD>)が細胞膜から遊離する。N^<ICD>は、細胞質から核へ移行し、核内に存在するSuppressor of Hairless [Su(H)]と複合体を形成して、標的遺伝子のプロモーターに結合することで、その転写を活性化する。Deltex (Dx)は、Notchの細胞内ドメインに結合し、Notch情報伝達系を正に制御している。しかし、その作用機構は明らかにされていない。 我々は、ショウジョウバエDxの過剰発現により、Notch情報伝達系によって活性化されるvestigialのエンハンサー(vgBE)が異所的に活性化されることを示している。DxによるvgBEの活性化には、γ-Secretaseの構成因子であるPresenilinが必要であったが、Su(H)、Delta、Serrateを必要としなかった。これらの結果は、Dxが、従来知られているものとは異なるNotch情報伝達経路で機能していることを示している。次に、DxによるNotch情報伝達系の活性化機構を明らかにする目的で、Dxを過剰発現させたときの、Notchの細胞内分布や、安定性に対する影響を調べた。その結果、Dxの過剰発現により、Notchの細胞内における分布が、細胞膜から後期エンドソームへと変化し、同時に、後期エンドソームにおいてNotchの安定化が起こることを明らかにした。したがって、DxによるSu(H)非依存的なNotch情報伝達系の活性化は、後期エンドソームに蓄積されたNotchを介して起こるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)