2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性を有する天然物の実用的合成法の確立と作用機構解明への化学的アプローチ
Project/Area Number |
04J02798
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Research Fellow |
山口 潤一郎 東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機触媒 / 不斉合成 / プロリン / 酸化 / ルシラクタエン / エポキシド還元 / 全合成 |
Research Abstract |
1)プロリンを触媒として用いたケトン、アルデヒドの不斉α-アミノオキシ化反応 天然から容易に得られる安価なプロリンを触媒として、ニトロソベンゼンを酸素源として用いることで種々のケトンやアルデヒドに対して不斉α-アミノオキシ化反応が進行し、高収率・高エナンチオ選択的にα-アミノオキシカルボニル化合物得られることを見出した。なお、本反応により得られたα-アミノオキシ化合物は光学純度を損なうことなくα-ヒドロキカルボニル化合物に変換できる。 2)高活性なシロキシプロリン触媒を用いた不斉合成への応用 プロリンを触媒として用いた不斉合成反応は、近年数多く報告されている。しかし、反応溶媒は極性溶媒に限られ、また基質によっては反応が進行しないという問題点があった。これらはプロリンの有機溶媒に対する低い溶解性のためと考えた。そこで脂溶性を向上させた4-シロキシプロリン触媒を合成し、ケトン、アルデヒドのα-アミノオキシ化反応、三成分マンニッヒ反応、α,β-不飽和ケトンのニトロソアルドール/マイケル反応に適用し、その触媒能について調べた。その結果、これらの反応において、光学収率を全く損なうことなく、プロリンに比べ反応時間の短縮、触媒量の低減化、基質一般性の拡大に成功した。 3)抗腫瘍活性を有するルシラクタエンの不斉全合成 抗腫瘍活性を有するlucilactaeneは、連続するペンタエン、及び1-aza-5-oxa[3.3.0]cyclooctane部位を有する化合物である。β-ケトニトリルの立体選択的Knoevenagel反応、エポキシ化反応、ヨウ化サマリウムを用いたエポキシドの還元反応を鍵反応とし、さらに中性条件下、酸化的に脱保護できる保護基を開発し、不斉全合成を達成した。また、lucilactaeneは酸性条件下、容易にラセミ化することを見出した。
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Research Products
(3 results)