2004 Fiscal Year Annual Research Report
テロメア1本鎖DNA結合蛋白質Pot1の高次構造とテロメアDNA調節機構
Project/Area Number |
04J02801
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古川 亜矢子 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テロメアDNA結合蛋白質 / テロメア1本鎖DNA / 相互作用解析 |
Research Abstract |
真核生物の染色体末端のテロメアDNAの長さは、テロメアDNA結合蛋白質によって調節されており、細胞の老化や癌化と密接な関係にある。テロメアDNA結合蛋白質の一つであるPot1蛋白質はテロメアの3'末端の1本鎖DNA領域に特異的に結合し、染色体の構造維持などに寄与するが、詳細な分子機構は不明である。本研究では、Pot1蛋白質とテロメア1本鎖DNAとの相互作用を解析している。 テロメア1本鎖DNA領域との結合に必要なPot1蛋白質のN末端側の最小DNA結合ドメインを特定するために、Pot1蛋白質のC末端側を欠損した一連の部分欠失変異体をコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌内で蛋白質を発現した。これらの蛋白質とテロメア1本鎖DNAとの結合能の解析より、N末端182残基が1本鎖DNA結合ドメイン(DBD)であることを明らかにした。このPot1 DBDの高次構造を円偏光二色性(CD)で解析した結果、αヘリックスとβシート構造を有していた。また、Pot1 DBDと分裂酵母及びマウスのテロメア1本鎖DNAとの結合能をゲルシフト法で解析したところ、Pot1 DBDは分裂酵母テロメア1本鎖DNAには特異的に結合するが、マウステロメア1本鎖DNAにはほとんど結合しないことが明らかとなった。 更に、Pot1 DBDと分裂酵母テロメア1本鎖DNA配列d(GGTTAC)との相互作用を等温滴定型熱量計(ITC)により詳細に解析した。これより、温度の上昇に伴って結合定数が減少することが明らかとなった。また、イオン強度の上昇に伴って結合定数が減少することも明らかとなった。
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