2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折と中性子回折を用いた高圧下における含水珪酸塩融体の構造の解明
Project/Area Number |
04J02835
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山田 明寛 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高温高圧 / X線その場観察 / 含水Mg珪酸塩メルト / 含水マグマの構造 / 地球内部 |
Research Abstract |
水は地球内部に存在する物質の物性や融解特性に著しい影響を与える。特に含水、高圧条件下での鉱物の熔融関係は無水条件とは大きく異なり、非常に興味深い。例えば、MgO-SiO_2系において、含水マントルの浅部において生成されるマグマの組成はSiO_2成分に富むことが久城らによって明らかにされた。しかし、この現象は、上部マントル最下部に至る条件(約10GPaに相当)までで、更に高圧では生成されるマグマの組成はまったく逆のMgO成分に富むことが明らかになった。本研究では、上述のような高圧含水マグマの熔融様式の変化に伴う構造の変化を、原子レベルの微視的観点から実験的に明らかにすることを目的としている。 高温高圧実験は、KEKのAR-NE5Cビームライン設置のマルチアンビル型高圧発生装置MAX80を使用して行った。高圧状態の含水マグマのX線回折測定は、白色の放射光X線を用いてエネルギー分散法により行った。 今年度は、前年度開発した含水珪酸塩メルトの高温高圧X線回折実験用のセルを用いて、6.5GPaまでの圧力領域でMg含有量を変えた含水珪酸塩メルトのデータ収集を行った。珪酸塩メルトのX線回折強度曲線の第一ピークは、SiO_4四面体からなるネットワーク構造を反映したピークと考えられており、Mg/Siの大きいメルトほど短いネットワーク構造を持つことがわかった。また、無水のMgSiO_3メルト(Funamori et al.,2004)と含水のものとの比較では、最近接原子間距離に大きな違いは見られず含水条件においても、この圧力領域ではSiO_4四面体が基本構造である可能性が高いことが考えられる。このことは、高圧下でH_2O成分がマグマに溶け込む場合、主に中距離秩序に影響を及ぼしてメルトに入り込んでいることを示唆している。実際に、含水のメルトのX線回折強度曲線の第一ピークは無水のものより高Q側(Q=4πEsinθ/12.398[Å^<-1>]にシフトしていた。
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[Journal Article] The phase boundary between wadsleyite and ringwoodite in Mg_2SiO_4 determined by in situ X-ray diffraction2006
Author(s)
T.Inoue, T.Irifune, Y.Higo, T.Sanehira, Y.Sueda, A.Yamada, T.Shinmei, D.Yamazaki, J.Ando, K.Funakoshi, W.Utsumi
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Journal Title
Physics and Chemistry of Minerals 33(In press)