2005 Fiscal Year Annual Research Report
高精度高分解能電子線ホログラフィを用いたナノ磁性デバイスの定量的観察と評価
Project/Area Number |
04J02859
|
Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
山本 和生 (財)ファインセラミックスセンター, 材料技術研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 電子線ホログラフィ / 収差補正 / ナノ磁性 |
Research Abstract |
1.フーリエ変換を用いない新しい電子線ホログラフィの解析手法を開発した。この手法では、従来、フーリエ変換再生法の問題であったローパスフィルタリングによる空間分解能の制限とフーリエ変換によるアーティファクトが無い新手法であり、従来の手法より6倍空間分解能が良い。この手法を用いてラテックス粒子および磁性ナノ粒子群のポテンシャル分布をシャープに再生することができた。 2.高精度位相シフト電子線ホログラフィは、多数枚のホログラム(電子波干渉像)を用いて、高精度かつ高分解能な再生像を得る電子線ホログラフィ解析法の一つである。本研究では、この手法を電子顕微鏡の収差補正に適用した。用いた試料はHgCdTeの単結晶であり、赤外線の検出器等に使われる材料である。位相シフト電子線ホログラフィで得られる再生像の空間分解能は、電子波干渉縞の間隔に依存しないため、従来の2倍以上縞コントラストの高いホログラムを撮影した。この条件で撮影したホログラムは、従来のフーリエ変換再生法では再生不可能であるが、位相シフト電子線ホログラフィを用いて初めて、干渉縞に埋もれた原子像を再生することに成功した。 3.コバルトナノ粒子群をカーボン膜上に規則配列させた試料の磁場分布を、電子線ホログラフィを用いて観察、解析した。格子状に自己組織化させた強磁性ナノ粒子群は、次世代の記録メディアとして期待され、また特異な現象を生ずるナノ磁性物理学としても興味が持たれている材料である。これまで計算や理論により、ナノ磁性粒子群内では個々の粒子の磁性が相互作用を及ぼし合い、大きい磁気ドメインを形成すると言われているが、実際の観察までには至っていない。そこで本研究では、直径8nmのコバルトナノ粒子群を液体窒素温度まで冷却し、電子線ホログラフィでその場磁場観察を行った。その結果、10ミクロン級の大きな磁気ドメインが存在することがわかった。
|
Research Products
(2 results)