2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原系状菌の組織内伸展機構の解明-内生オーキシンの役割
Project/Area Number |
04J02864
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
田中 栄爾 滋賀県立大学, 環境科学科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 植物病原糸状菌 / オーキシン / 組織内進展 |
Research Abstract |
タケ類てんぐ巣病菌の効率良い形質転換系と遺伝子破壊系を検討し、本菌のインタクトの分生子を用いてエレクトロポーレーション法による簡便な形質転喚系を開発した。この試験により、タケ類てんぐ巣病菌において、Aspergillusnidulansのgpdプロモーターが遺伝子発現に有効であることが確認できた。そこで、インドール酢酸生合成経路に関わると考えられた本菌のアルデヒド脱水素酵素遺伝子のダブルクロッシングオーバーによる破壊実験をハイグロマイシンB耐性遺伝子を指標として行った。この結果、192株のハイグロマイシンB耐性株を得た。さらに、PCR法とサザンハイブリダイゼーション法によって、そのうちの2株は目的遺伝子が破壊されていることを確認した。これにより、本菌を用いた遺伝子破壊試験法を確立した。また、この2つの破壊株の表現型を調べるため、インドールアセトアルデヒドを添加した培地中でのインドール酢酸産生量をHPLCで調べたところ、2株の破壊株と野生型株との間に産生量の有意な差が見られなかった。このことから、今回、破壊試験に用いた遺伝子はインドール酢酸の産生に主要な役割を果たしていないことが明らかになった。そこで、糸状菌のアルデヒド脱水素酵素と予想される既知の遺伝子領域を分析し、基質が異なると予想される約10グループの遺伝子群に分類した。その中でインドール酢酸生合成に関与すると考えられる遺伝子群を選び、そのグループに対応する遺伝子をタケ類てんぐ巣病菌からクローニングした。現在、その遺伝子の破壊実験を行っている。
|