2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原系状菌の組織内伸展機構の解明-外生オーキシンの役割
Project/Area Number |
04J02864
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
田中 栄爾 滋賀県立大学, 環境科学科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / オーキシン / 組織内進展 |
Research Abstract |
タケ類てんぐ巣病菌のインドール酢酸の産生に関与すると考えられるアルデヒド脱水素酵素を探索するため、糸状菌のアルデヒド脱水素酵素をコードすると予想される既知の遺伝子領域を分析し、基質が異なると予想される約10グループの遺伝子群に分類した。その中でインドール酢酸生合成に関与すると考えられる遺伝子群を選び、そのグループに対応する遺伝子をタケ類てんぐ巣病菌からクローニングした。そこで、エレクトロポーレーション法を用いて、その遺伝子の相同破壊実験を行ったが、まだ破壊株を得ることができていない。一方で、アルデヒド脱水素酵素遺伝子の塩基配列を用いた麦角菌科菌類の分子系統学的研究を行った結果、これまでその形態や生態からBalansia属菌に近縁と考えられていたタケ類てんぐ巣病菌が、バッカクキン(Claviceps purpurea)と最も近縁であることが明らかになった。この成果について、関連の種との系統学的研究や、新たな分類学的知見と合わせて発表を行い、それぞれ論文執筆中である。ところが、その近縁なバッカクキンはタケ類てんぐ巣病菌と異なり、宿主のイネ科植物に殺生的に侵入し、インドール酢酸を産生しない。そこで、この生態的な相違とインドール酢酸産生能との関係に着目した。はじめに、バッカクキンの粗酵素液を用いて、インドール酢酸の代謝試験を行い、HPLCで測定しようとしている。また、宿主植物に内生する供試菌類を顕微鏡的に観察する技術を習得した。これらを用いて、インドール酢酸産生に関するリポーター遺伝子を発現させた供試菌類を観察する予定である。
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