2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロキスチン分解微生物を用いたアオコ毒除去システムの構築
Project/Area Number |
04J02865
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Research Fellow |
細井 祥子 (田辺 祥子) 滋賀県立大学, 環境科学部, PD
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Keywords | アオコ / シアノバクテリア / 分解微生物 / 細菌 / 真菌 / アオコ毒分解 / 微生物群集 / Real-Time PCR |
Research Abstract |
1.PCRを用いた琵琶湖における有毒シアノバクテリアの動態解析 アオコが発生する7月および10月において、琵琶湖全域(15地点)から湖水を採水した。採水した水から全DNAを抽出し、シアノバクテリア特異的遺伝子を標的としたReal Time PCRにより、シアノバクテリアの分布を調べた。さらに、シアノバクテリアが生産する毒として最も深刻な問題となっているミクロキスチン合成遺伝子を標的としたReal Time PCRにより、有毒種の分布を調べた。 その結果、(1)琵琶湖には全域に渡って有毒種が存在すること、(2)南湖の一部を除き細胞密度は非常に低く、毒を高速液体クロマトグラフィーで検出不可能であったこと、(3)シアノバクテリアの細胞数に対して、有毒種の細胞数は約10%程度であったこと、などがわかった。現在まで、琵琶湖の有毒種の存在を遺伝学的に詳細に調べた例はないが、今回の研究により、湖全域にわたる有毒種の存在が明らかとなった。 2.アオコおよびアオコ毒を分解する微生物群集の分離 琵琶湖で最も問題となっている有毒種Microcystis aeruginosaの培養株中に、微生物を5〜10細胞含む琵琶湖水を添加した。その結果、Microcystis aeruginosaおよびこの種の生産する毒であるミクロキスチンを分解する微生物群集を得ることができた。この微生物群集は、主に細菌であり、一部真菌類も含まれていた。これらの菌のそれぞれの性状を明らかとすることにより、細菌群集をアオコおよびアオコ毒の除去に使用できる可能性が示唆された。
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