2005 Fiscal Year Annual Research Report
開いた社会での共存はいかにして可能か?類人猿をモデルにした理論的研究
Project/Area Number |
04J02879
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀内 史朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地域社会 / よそ者 / ニホンザル / ボランティア / 共存 / 同化と隔離 / 共有財 / 過疎高齢化 |
Research Abstract |
「地域社会とよそ者の関係」というテーマで,秋田県八森町で例年行われているサル追い上げボランティアを対象として調査を行った.サルによる農作物の被害に苦しんでいる八森町は,サル害減退のためにボランティア隊員による見張り・追い上げ事業を行っている。人助けという利他的な動機ではなく,八森町での楽しい体験という利己的な動機で参加するボランティア隊員のほうが,次回も参加する意志が高い傾向にある.だが,そうした利己的な隊員の中から,追い上げ活動に対して責任感をもったリピーターが育っていく.彼らが中心となって活躍するボランティア隊員は,地域住民と親和的だが隔離した関係を維持している.八森町民も,住民とは距離を置きつつも責任感をもって活動するボランティア隊員に信頼を寄せている.結果として,これまで地域社会とよそ者の関係として類型化されてきた親和的同化・敵対的隔離のいずれでもない,親和的隔離という関係が両者の間で維持されていることが分かった.成果を第78回日本社会学会大会にて発表し,第31回地域社会学会大会にて発表予定である.現在,論文を執筆中である. 昨年度以前から行っていた屋久島のニホンザルに関する研究がPrimates誌にて掲載された.霊長類の群れの大きさに関する研究がPopulation Ecology誌に受理された.屋久島と下北半島のニホンザルを比較した研究,群れの密度とオス数に関する研究,ナワバリ制が進化する条件に関する研究を,投稿中,ないし執筆中である.また様々な環境に生息するニホンザルの多様性に関する発表を第9回国際哺乳類学会のワークショップにて行った.
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Research Products
(2 results)