2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本近世社会の身分格式・儀礼・名前を東アジアの比較文化史的観点から研究すること
Project/Area Number |
04J02887
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀田 幸義 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近世武家社会 / 身分格式 / 儀礼 / 名前 / 仮名(通称) / 官途状 / 百官・受領名 / 生・老・死 |
Research Abstract |
これまで仙台藩の武家を対象に身分格式・儀礼・名前といった三つのテーマについて取り上げ、その実証的研究成果を随時公表してきた。平成16年度は、それら旧稿への加筆・修正と新稿作成の準備を行った。旧稿を手直しするにあたっては、基本的な誤りを修正することは勿論のこと、先行研究を読み直し近年に発表された最新の研究動向とも関わらせながら論旨に広がりを持たせ、かつ、何度も調査を行うことで新史料の発掘にも力を注ぎ論拠の補強を行った。なお、この調査の結果、興味深い史料を発見し新稿作成への足がかりとすることができた。新稿は未だ完成してはおらず分析途中であるが、武家を中心に民衆をも含めその仮名(通称)についての研究となる予定である。いわゆる官途状類が戦国大名により頻繁に発給されているという事実は、当時の武士たちにとって百官・受領名を名乗らせ名乗れることが主従関係の紐帯として如何に重要視されていたのかを物語るものであり、こうした「名」の賜与は近世にも見られたのである。では、内蔵助や壱岐守などといった「名」を実際に名乗った人物は誰であったのか、どういった階層の人間が名乗っていたのか、そこに時代的変遷は見られるのか。こうした基本的な事柄を押さえた上で、時代の移り変わりと人名の変化について、まとめるつもりでいる。身分制社会における支配・被支配関係の本質的な姿を人々の「名」から説明することができればと考えている。 また、名前の研究とは別に武家の一生と儀礼についての研究を行う準備として、『伊達治家記録』中に見る「生・老・死」に関わる儀礼のデータベース化を試みており、今年度は「生」部分についての作業を終了した。来年度以降も継続していく予定であり、データベース完成後には、是非ともそれをもとにした論文を執筆してみたいと考えている。
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