2005 Fiscal Year Annual Research Report
負イオン磁化プラズマ中フローシアー不安定性の体系的解明
Project/Area Number |
04J02954
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市來 龍大 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フロー速度シアー / 不安定性 / 負イオンプラズマ / ドリフト波 / 静電波 / 非線形波動 |
Research Abstract |
前年度に構築した理想的な負イオンプラズマ実験系を用い,沿磁力線正イオンフロー速度シアーにより駆動されるドリフト波不安定性の特性が負イオンから受ける影響の詳細を調査した. 1.負イオン交換率(プラズマ中の電子と負イオンの置換率)の上昇に伴い,不安定性の揺動レベルが上昇することが確認された.さらにこのとき,ドリフト波不安定性が励起される平行シアー強度範囲が正・負両方向に拡張する現象が観測された.これらの結果から,プラズマ中の負イオン導入が,シアー駆動支配下のプラズマの不安定化を促進させることが明らかとなった. 2.負イオンプラズマ中の電流駆動型ドリフト波不安定性の理論解析を線形領域で行い,実験結果との比較・検討を行った.この理論によると,平行シアー強度の増加も負イオン交換率の増加も共に,ドリフト波位相速度の沿磁力線方向成分を増加させる効果があることが示された.結果として,不安定性を励起するシアー強度の変化について実験と線形理論で定性的な相違があることが明らかとなった. 3.ドリフト波不安定性の周波数スペクトルを観測した結果,ある平行シアー強度範囲において鋭利なスペクトルから広帯域なスペクトルへと遷移し,さらなるシアー強度の上昇により再び鋭利なスペクトルへと遷移する様子を観測した.この現象は,負イオン及び平行シアーが共存するときにのみ観測され,一般的に揺動レベルの強い場合に発生した.従って,このスペクトルのブロード化は「負イオン」及び「平行シアー」の2つの事象に起因する非線形効果の発現により,元は正弦波的であった線形領域の波動が,乱流様のスペクトル特性を呈するようになったと考えることができる.従って,「実績2.」に示された線形理論と実験結果との差異についても,非線形効果が顕著化した結果であると説明できる.今回得られた結果により,当該の研究が非線形波動・乱流の研究に貢献する可能性が示された.
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Research Products
(5 results)