2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面微細周期構造による熱放射スペクトル制御と波長選択性熱放射素子への応用
Project/Area Number |
04J02955
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
齋 均 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, PD研究員
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Keywords | 熱放射 / 回折格子 / 光電変換 / 反射防止 / 電磁界解析 |
Research Abstract |
本研究では、(1)表面微細構造からの熱放射スペクトルの解析と評価、熱放射素子の実現、(2)熱放射素子に対応する高効率・広帯域な光電変換セルを開発するための基礎研究、の二つの課題に取り組んでいる。 (1)に関しては、Finite-difference time-domain (FDTD)法に基づく独自に開発した電磁界計算プログラムを用いて、大きさ1μm程度のキャビティを周期的に配列した表面構造を持つタングステンの光学特性を調べた。その結果、キャビティの大きさや形状に依存する吸収ピークが現れ、マイクロキャビティ効果による吸収スペクトルの変調が確認された。これは、実験的に確認された熱放射スペクトルのピークと対応しており、構造の大きさや形状を制御することで熱放射スペクトルが制御できることが示された。これにより、タングステン回折格子を用いることで波長制御された熱放射素子が作製できることが示唆された。 (2)に関しては、光電変換セルの効率向上を目的として、対象とする光の波長よりも小さな構造(サブ波長構造)による素子表面の反射抑止技術の研究を行った。まず、上記FDTD法による数値解析を行い、表面反射を効果的に抑制するサブ波長構造の設計を行い、周期100nm、アスペクト比3程度のピラミッド構造によって反射を1%程度にまで抑制できることを明らかにした。次いで、これを実証することを目的として、自己組織化構造である陽極酸化ポーラスアルミナをマスクとしたドライエッチング法を用い、シリコン基板表面にサブ波長構造を作製し、感度波長帯において実際に反射率を1%程度にまで抑制することに成功した。さらに、このサブ波長構造を持つシリコン基板を用いて光電変換セルを試作し、主に短絡電流の増加によって発電特性が向上することを確認した。
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Research Products
(4 results)