2005 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン-IVB族ハーフメタル相/絶縁体界面原子対設計による高スピン偏極状態の実現
Project/Area Number |
04J02957
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芦澤 好人 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハーフメタル / スピン偏極率 / ウルツ鉱型 / 閃亜鉛鉱型 / MnTe / トンネル磁気抵抗効果(TMR) / 強磁性トンネル接合(MTJ) / スパッタリング法 |
Research Abstract |
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を始めとするスピン制御薄膜論理デバイスの基礎物理現象であるトンネル磁気抵抗(TMR)効果を十分に解明・理解することは、物理的・工学的に非常に重要なことである。一般に、TMR比を向上させるためには極薄絶縁体障壁両端の強磁性層のスピン偏極率を高めることが有効であると考えられているにもかかわらず、絶対零度においてスピン偏極率が100%となるハーフメタル強磁性材料を用いた強磁性トンネル接合膜に関する実験報告では、室温において高TMR比は得られていない。この原因としてハーフメタル材料自身のスピン偏極率が低下している可能性が考えられるため、本研究ではスピン偏極率を低下させないハーフメタル材料およびハーフメタル/絶縁体界面の実現を目的としている。 平成17年度は、平成16年度において世界に先駆けてその合成に成功したウルツ鉱型MnTe相にIVB族以外の元素添加効果を検討した。Teサイトの置換元素としてSnおよびSbを選択し、Mnサイトの置換元素として3d遷移金属であるV, Cr, Fe, Co, Ni, Cuを選択した。第三元素を添加したウルツ鉱型MnTe相の合成を検討した結果、Sn, Sb, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cuの場合にそれぞれ18at.%,10at.%,3at.%,18at.%,13at.%,22at.%,7at.%,0at.%の単相合成に成功した。いずれにおいても強磁性体にはなっていない。最大の置換量を決定する要因は、Teサイトの置換とMnサイトの置換では異なっていることがわかった。すなわち、Teサイトを置換する場合には、Teとの共有結合半径が近いことが有効であり、Mnサイトを置換する場合には、ウルツ型が形成されると考えられる900℃-1000℃近傍が、置換元素とTeの二元系における融点に近いことが重要であることがわかった。
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