2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現情報・ゲノム情報に基づく動物の眼の多様性の進化機構に関する研究
Project/Area Number |
04J03046
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小倉 淳 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 眼の進化 / 眼の多様性 / 種の多様性 / ゲノム進化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
先カンブリア期において生物がどのような遺伝子群を持っていたかを明らかにし、それらの遺伝子がどのような進化過程を経てきたかを解析することで、眼の多様性の進化機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 種の多様性・眼の多様性を遺伝子レベルで明らかにするためには、生物の種分岐においてどのような遺伝子がどのような進化過程を経てきたかを解析することが不可欠である。具体的には、種分岐後の特定生物種における遺伝子進化イベント、Rapid Evolution、Adaptive Evolution、Gene Loss、Lineage Specific Expansion、Regulational System Evolutionを調べる必要がある。この解析手法を確立させるため、近縁種において多数のゲノム情報がそろっている生物種で解析モデルを立てる必要があるが、本研究においては12種のゲノムプロジェクトと7種のドラフトゲノムがそろっているショウジョウバエにおいて解析を行った。ショウジョウバエは複眼を持つ昆虫で、同じく複眼をもつ軟体動物のフネガイとの比較も視野にいれることができる。 まず、すでに遺伝子が予測されているキイロショウジョウバエを除く6種の遺伝子予測を行い、各種において19000-28000の遺伝子予測に成功した。次にそれらの遺伝子を遺伝子相同性に基づくSingle linkage Clustering Analysisを行い、種分岐時に遺伝子重複をしたオーソロガス遺伝子群を同定した。さらに、系統解析を行うことで種分岐に伴う遺伝子重複をした遺伝子すなわち種分岐関連遺伝子を推定し、上記遺伝子進化イベントを検証し、それらの遺伝子の機能分布を解析した。この結果、環境応答に必要な遺伝子は爆発的遺伝子重複を起こしやすく、発生・生殖に必要な遺伝子は遺伝子進化イベントが起こりにくいことを見出した。
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