2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 感性情報処理 / Semantic Differential法 / 近赤外光スペクトロスコピィ / アレキシサイミア / 美的判断 |
Research Abstract |
1.近赤外光スペクトロスコピィを用いて、絵画印象評定時の脳血液量変化値を計測し、感性主要3次元(評価性、活動性、力量性)に対応する脳内活動に迫った。実験の結果、「激しい-静かな」等の活動性印象判断時には、聴覚関連領野の血液量が増加し、「はげしい」より「静かな」と判断している時に、賦活が増大した。加えて、「硬い-柔らかい」などの力量性印象判断時には体性感覚野近傍の血液量が増加し、「硬い」より「柔らかい」と判断した時に、大きい賦活を得た。一方「快-不快」に関わる評価的判断では特異的な反応は得られなかった。これらの結果は、Neuroscience Letters(2005)に掲載された。 2.感性処理と感情機能の関係を検討するため、感情認知機能障害をもつアレキシサイミア傾向者を対象に絵画の印象評定課題を実施した。その結果、アレキシサイミア傾向者は健常者に比べ、絵画刺激によって喚起される「硬い-柔らかい、鋭い-鈍い」などの触覚的印象を増幅して感受していることがわかった。この成果は、Psychological Reports(2004)に掲載された。 3.絵画鑑賞時のタイトルの影響について、作品に表現された感情や抽象概念(喜び,女らしさ等)を示す"表現性(expressive meaning)"に着目し、タイトルと絵画の表現性が一致する場合と不一致の場合に、感性主要3次元に関わる美的判断がどのような影響を受けるか検討した。その結果,表現性の一致・不一致は、「好き-嫌い」などの評価性判断に特に強い影響を与え,タイトルや絵画のネガティブな特性が最も影響力をもつことがわかった。この結果は、18^<th> Congress of International Association of Empirical Aesthetics(2004)で口頭発表し、British Journal of Psychologyに投稿中である。
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