2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁気急始(SC)による磁気圏内プラズマ擾乱の発達過程の研究
Project/Area Number |
04J03113
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新堀 淳樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気急始(SC) / 磁気圏対流電場 / 内部磁気圏・プラズマ圏 / 太陽風-磁気圏相互作用 / 磁気流体波 / あけぼの衛星 / 磁気圧縮 / 磁気嵐 |
Research Abstract |
磁気急始(SC)やそれに続く磁気嵐に伴って引き起こされる内部磁気圏・プラズマ圏内の電流、電場や磁気擾乱の発生並びに発達過程でのプラズマの応答、擾乱の伝播、エネルギーや物質の輸送機構ついては、現在、未発達の分野として残されている。本研究では、内部磁気圏・プラズマ圏におけるSC、その後の磁気嵐の発達過程に呼応した擾乱の発生、エネルギーの伝達や物質の輸送機構について解明することを目的としている。本年度は1989年3月から2003年12月に至るまでの約15年間という長期間のあけぼの衛星の電場観測データを用いて、SCの発生前後における内部磁気圏・プラズマ圏内の電場変動の様相に主眼においた解析を行った。その結果、SCの発生にほぼ1対1対応を持って磁気流体波の通過に伴う数十mV/mに上る大振幅の電場が内部磁気圏・プラズマ圏内に出現し、粒子を地球方向へ輸送させる西向きの方向を向いていた。さらに、その電場変動の直後に全磁気地方時ならびにL=1.8-10.0の領域において朝-夕方向の電場の直流成分の増大が見受けられた。このことは、大規模な磁気圏対流電場が内部磁気圏・プラズマ圏深部にまで侵入していることを示しており、本研究においてプラズマ圏深部へは磁気圏対流電場の侵入を許さないという古典的なプラズマ圏・磁気圏ダイナミクスの概念の書き換えにせまるという地球物理学上重要な事実を明らかにした。そして、その電場強度は、顕著な磁気地方時並びにL値依存性を示さなかったが、地上のSCの振幅、すなわち磁気圏の圧縮の割合に比例してその対流電場強度が大きくなるという傾向が見出された。この結果は、SC時に発生する磁気圏対流電場が従来の太陽風-磁気圏相互作用(磁気再結合過程、K-H型の運動量輸送過程)とは異なる過程、つまり磁気圏の圧縮によって生成されることを示しており、磁気圏対流電場の生成機構に関する新たな知見を得た。
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