2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメーターサイズトンネル磁気抵抗素子の作製とクーロンブロッケイド
Project/Area Number |
04J03141
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新関 智彦 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 強磁性トンネル接合 / 単一電子素子 / 微小接合 / 電子線リソグラフィ / ナノ加工 / 微細加工プロセス / 低温測定 |
Research Abstract |
・前年度に確立した作製プロセスを用いて高品質強磁性単一電子素子(FM-SED)の試料を作製した. 超高真空スパッタ装置(現有)を用いてTMR素子膜を作製し(本経費で申請したターゲットを使用),これを電子線描画装置(共同利用)とArミリング装置(現有)を用いて微小ギャップを有する二つの電極に加工した(申請した電子線レジストを使用).次にこのギャップを橋渡しするようにTiのナノ細線を形成し(申請した蒸着母材を使用),これをハードマスクとして上からArミリングを行った.この結果,幅20nm,長さ200nmの極微小TMR素子を有するFM-SEDが形成された. ・極低温-室温においてFM-SEDの抵抗値およびTMR比を評価し,Coulomb blockade現象を確認した. ヘリウム希釈冷凍機(東北大学大野研究室所有)を用いて温度範囲10mK〜室温を実現し,単一および二重接合を有するFM-SEDの抵抗値(R)およびTMR比の温度依存性を調べた.単一接合では温度の低下に伴いRとTMR比が増加したが,2K以下では一定値を示した.一方,二重接合では2K以下でもこれらの値は増加し続けた.以上から理論通りに二重接合の系のみでCoulomb blockade現象が発現することが確認された. ・極低温下においてFM-SEDの諸特性を評価し,しきい値電圧以下においてTMR比の増大現象を観測した. 極低温下(10-50mK)においてバイアス電圧を数μV-数mVまで変化させ,RおよびTMR比のバイアス電圧依存性を調べた.単一接合ではバイアスを数μVまで下げてもRとTMR比に変化は見られなかったのに対し,二重接合では約400μVをしきい値としてRおよびTMR比が急激に増大した.特にTMRの増大率は通常値の10倍以上であり,これらは従来の理論では説明できない新しい現象が関与している可能性がある.
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Research Products
(1 results)