2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極量子井戸を有する強磁性トンネル接合の磁気抵抗効果
Project/Area Number |
04J03172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野崎 隆行 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トンネル磁気抵抗効果 / 共鳴トンネル / スピン偏極量子井戸 |
Research Abstract |
磁気抵抗効果型ランダムアクセイスメモリ(MRAMs : Magnetic random access memories)は、不揮発性、高速性、大容量および繰り返し書き換え耐性のすべてを兼ね備えたユニバーサルメモリを実現できる可能性が高く、近年注目を集めている。MRAMsでは、強磁性トンネル接合をメモリ素子とし、その磁気抵抗効果(TMR)を利用して情報の書き込み、読み出しを行う。しかしながら、現状のMRAMsアーキテクチャではTMR素子の選択にCMOSを必要とすることが大容量化の弊害となっており、ギガビット以上に大容量化するためには、TMR素子自身にスイッチ機能を持たせることが必須となる。 本研究は、量子効果の利用で金属層内の状態密度を人工的に変調させることによって、TMRの振動現象などの機能性発現を目的として、スピン偏極量子井戸を有するTMR素子の磁気抵抗効果について研究を行うものである。昨年度はTMR素子構造の強磁性層と絶縁層の間に非磁性金属層を配置し、強磁性層側でのスピン依存散乱と絶縁層側での散乱により、非磁性金属層中にスピン偏極量子井戸を形成することを試みた。非磁性金属層としては、Ru、磁性層としてはCoFe合金を用いた。RuはCoとの界面において、upスピンを強く反射する性質を有することから、upスピン偏極量子井戸の形成を期待し、Co/ultrathin Ru/AlOx barrier/Co構造のTMR素子を作製し、その磁気抵抗特性について調べた。 上記構造のTMR素子に関して、TMR比のRu厚依存性を調べた結果、TMR比が符号反転を伴って、振動的に変化することが明らかとなった。さらに、あるRu厚領域においては、バイアス電圧に対しても、TMR比が符号反転を伴って振動的に変化することが明らかとなった。これらの現象は、Ru中に形成されたスピン偏極量子井戸準位を介した共鳴トンネル効果に起因するものと考えることで理解される。
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Research Products
(1 results)