2004 Fiscal Year Annual Research Report
窒化III-V族化合物半導体の表面および秩序構造制御
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04J03202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 貴洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | III-V族化合物半導体 / GaNAs / GaInNAs / 反射率差分光法 / 表面 / 分子線エピタキシー / ラザフォード後方散乱 / 拡張X線吸収微細構造 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は次の3点である。 (1)GaNAs(001)成長表面の反射率差スペクトルの理論解析 昨年度得られたGaNAs(001)成長表面相図を基となった反射率差スペクトルの理論解析を、千葉大学理学部中山隆史教授との共同研究として行った。本研究によりGaNAs(001)薄膜MBE成長においては、表面窒素濃度がバルク窒素濃度に比べて高い状態で成長していること、成長表面ではAs-Nダイマーの変形が起きていることの2点を明らかにした。 (2)ラザフォード後方散乱法によるGaNAs結晶構造解析 ラザフォード後方散乱法によるGaNAs(001)薄膜の結晶構造解析を行った。本実験の結果から、GaNAs薄膜中において従来確認されていた原子間位置窒素点欠陥とは別に、GaAs母結晶側にも点欠陥が発生していることが明らかにされた。また窒素原子位置の評価も同時に行い、結晶格子位置および原子間位置に窒素原子が存在していることを確認した。 (3)GaInNAs(001)薄膜の拡張X線吸収微細構造測定 GaAs(001)基板上に成長したGaInNAs(001)薄膜について、拡張X線吸収微細構造測定を行った。本年度の実験においてはGa K吸収端およびAs K吸収端について測定行った。In K吸収端、N K吸収端の測定および解析については次年度に行う。 本年度得られた研究成果を総括するに、GaNAs(001)成長表面における窒素原子の状態を明らかにしたこと、またGaNAs薄膜中の点欠陥構造に関する新たな知見を得たことに意義がある。ことに表面状態については、反射率差分光法を用いたことで、従来の方法では得られなかった知見を実験的に得ることができた。これはGaNAsに限らず、非混和性の高い材料系の結晶成長に対しても有意義な知見であると考えられる。
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