2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた強誘電体記録に関する研究
Project/Area Number |
04J03223
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平永 良臣 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 走査型非線形誘電率顕微鏡 / 強誘電体高密度記録 / 分極制御ウェットエッチング法 / タンタル酸リチウム / ビット誤り率 |
Research Abstract |
強誘電体高密度記録の媒体作製法として分極制御ウェットエッチング(PCWE)法を開発した.この手法により,厚さ数百nmの均一な単結晶記録媒体を作製することが可能となった.強誘電体はフッ酸を用いてウェットエッチングを行う際,その極性によってエッチレートが異なるといった性質を有する.LiTaO_3の場合,-z面はフッ酸によく溶けるが,+z面はほとんど溶けない.そこで,-z面をエッチングする際,結晶にDCバイアス電圧を印加する.すると,結晶が薄くなるにしたがって結晶内の電界強度が増加し,ある厚さに達したとき分極反転が起きる.このとき,+z面がフッ酸にさらされることになるため,この時点でエッチングを終了させることができ,得られる薄片結晶の厚さは,エッチング面全体にわたって均一となる. 次に,データ記録時におけるビット誤り率の評価を行った.その際,特に応用の観点から重要であるプローブの耐久性といった点を重視し,探針先端の劣化が極めて小さい導電性ダイヤモンドコートカンチレバーを用いてデータの記録再生を行った.しかしながら,市販のダイヤモンドコートカンチレバーは一般的な金属コートのカンチレバーに比べ探針径が大きいため,高密度にデータを記録したときの特性が劣っていた.そこで,まず初めに探針先端の先鋭化を行い,260Gbit/inch^2の密度(ビット間距離50nm)で128×128bitの実データの記録を可能にした.その際,書き込み条件を変化させたときのビット誤り率の違いに関して調べ,良好な特性が得られる条件を見出した.最適化された書き込み条件の下では,データサイズ9797bitの中にビット誤りは全く存在しなかった.したがって,このときビット誤り率は1×10^<-4>未満であることが確認された.これは,現行の磁気記録方式とほぼ同等の値であり,実用に十分耐えるものと考えられる.
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Research Products
(3 results)