2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03359
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 久子 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 環境会計 / 環境保全型農業 / アカウンタビリティ / 環境直接支払い |
Research Abstract |
企業等では,環境保全に対する取り組みを環境会計を用いて定量的に把握し,その結果を経営に活かしている.一方,農業経営体では環境保全活動を行っていても,環境会計等を用いてその取り組みを定量化している例はほとんどない.農業の持つ環境便益が議論されるにいたり,環境保全型農業に対する税制上の優遇措置や,その取り組みに対する直接支払いなどが行われつつある.こうした状況のもと農業経営体は環境に対する便益を定量化し,行政や納税者である国民に対してアカウンタビリティを果たしていかなければならない.その手段として企業等で用いられている環境会計が有効であるが,企業等における環境会計をそのまま農業経営体に導入するには限界があり,農業独自の環境会計を確立していく必要がある. 農業経営体における環境会計を確立するために,環境保全型農業に取り組む経営体に対して調査を行うとともに,環境保全型の農法である冬期湛水水田を行っている宮城県田尻町において成果報告会等に出席した.そこでは,環境保全型農業の効果は,自然科学分野でも確かなことがいえず,農法の確立も未だ手探りの状態にあることが分かった.しかし,日本とは対照的に,スイスにおいては,すでに農業経営体の95%が環境直接支払いを受けている.スイスの農業経営体がその取り組みを証明する'Proof of compliance with ecological requirements'は,農業経営体における環境会計の情報を構築する上で非常に参考になるものであった. さらに,環境保全活動を通じて優遇措置を受ける経営体がアカウンタビリティを果たすためには,それを取り巻くステークホルダーが必要とする情報を提供すべきであるという考えに基づき,ステークホルダーらが需要する情報について調査を行った.この結果は,学会等(研究発表の項参照)で報告した.
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Research Products
(2 results)