2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03364
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千田 雅隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 楕円曲線 / 保型形式 / L関数 / 岩澤不変量 / ガロア表現 / セルマー群 / 非可除性 / ブロック・加藤予想 |
Research Abstract |
本年度は主に保型形式に関する研究に取り組み,いくつかの成果が得られた.一つ目の成果として,昨年度に得られた,有理数体上の楕円曲線の2次のtwistの族の中の岩澤不変量が零になるものの密度に関する結果を一変数の保型形式の場合に拡張した。この結果は半整数weightと整数weightの保型形式を結びつける志村対応の理論及びGalois表現の理論を使い,L-関数の値の振る舞いを調べることによって得られる.この手法は元々,楕円曲線の場合のSelmer群の位数の非可除性を調べたJames, Kohnen, Onoらの論文において最初に使われた方法であり,特に彼らがweightが2の保型形式の場合に示した結果を一般の偶数weightの場合に証明することができた.また,彼らの手法をそのまま適用すると必要なL-関数の値が求められないが,保型形式の合同関係を利用した1980年代のAshとStevensの結果とうまく組み合わせることによって,この点を克服することができることがわかった.これらの結果は現在,論文にまとめ専門誌に投稿中である.二つ目の結果としては保型形式のL-関数の中心値の積の非零性に関する予想が,ある2-進Galois表現に関する仮定をみたすときに成り立つことを証明した.この条件は一般に多くの場合に成り立っていることが期待されており,この予想を完全に解決するための重要なステップになると考えられる.いままではこの問題の解決は難しいと思われていたがOnoとSkinnerによる1998年の論文の手法をうまく用いることにより,この問題に応用できることが今回の研究によりわかった.現在は具体的に今回与えた条件を満たすような保型形式または楕円曲線をどのくらい見つけることができるかということを引き続き研究中である.
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Research Products
(1 results)