2004 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性酸化物半導体による室温動作スピントロニクス素子の作製
Project/Area Number |
04J03416
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊崎 秀海 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピントロニクス / CoドープTiO_2 / レーザーMBE法 / 異常ホール効果 / キャリア誘起強磁性 / 磁気円二色性 / トンネル磁気抵抗素子 |
Research Abstract |
本研究は、室温動作スピントロニクス素子の作製を目的としている。我々は素子作製の材料として、室温で強磁性を示すCoをドープしたTiO_2を用いた。この材料は我々により発見された材料であるが、近年まで、その強磁性の起源が不明確であった。そこで我々は素子作製をする前に、この新しい材料であるCoドープTiO_2の強磁性の起源を明確にするための研究を行なった。材料の基本特性を研究するためには高品質の材料をもちいることが不可欠である。まず我々は、高品質CoドープTiO_2薄膜の作製を行なった。緩衝層の導入、作成条件の最適化によりレーザーMBE法を用いて原子レベルで平坦な高品質CoドープTiO_2薄膜の作製に成功した。次に、磁性の起源を明らかにするために磁気輸送特性および、磁気光学効果の観測を行なった。磁気輸送特性に於いて室温で大きな異常ホール効果の観測に成功した。室温ではっきりと異常ホール効果を観測しうる材料は稀であり、また異常ホール効果の観測はCoドープTiO_2の強磁性の起源がキャリア誘起強磁性であることを強く示唆していることからCoドープTiO_2が室温動作スピントロニクス素子の作製に適していると考えられる。さらに、我々は磁気光学効果(磁気円二色性)の測定からもCoドープTiO_2がキャリア誘起強磁性であることを確認した。以上からCoドープTiO_2による室温動作スピントロニクス素子の作製が原理上可能であることが分かったので、代表的なスピントロニクス素子の一つであるトンネル磁気抵抗素子の作製を行なった。室温での素子動作は確認できてはいないが、低温では動作確認ができている。従って、今後素子作成条件の最適化などを通して室温動作スピントロニクス素子の作製が可能であることを示せた。
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