2005 Fiscal Year Annual Research Report
多機能ダイヤモンドライクナノコンポジット薄膜センサに関する研究
Project/Area Number |
04J03420
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹野 貴法 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | グラニュラー薄膜 / ホッピング伝導 / タングステンカーバイド / 超伝導薄膜 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き磁気センサとなる材料の基礎物性を評価した。また、材料の構造解析に重点を置き、物性評価結果と合わせて機能性発現機構について検討した。 1.磁場センサとなる材料の作製と物性・構造評価 磁場に応答する薄膜の作製のために、含有する磁性金属種の選択が必要不可欠である。第一歩目として、強磁性体金属であるコバルトを含有させ、その抵抗の温度依存性及び磁場特性、薄膜構造解析を行った。薄膜構造はコバルト金属クラスタが母材中に分散しているというグラニュラー構造を有していることが透過型電子顕微鏡の結果より明らかとなった。ラマン分光分析から、コバルトが分散している母材は非晶質炭素構造であることが分かった。抵抗の温度依存性は低温領域(〜2K)から室温付近(〜300K)の温度領域で測定し薄膜構造の結果と合わせて詳細な検討をした結果、電気伝導機構がホッピング伝導によるものであることが分かった。また、同じく低温領域において1テスラの磁場を印加した際に得られる磁気抵抗は1%に満たないことが分かった。電気伝導機構を考えると、弱い磁気抵抗率は金属粒子同士の弱い相関関係によるものであると考えられる。 2.詳細な電気伝導機構の評価 前年度までの結果において、電気伝導機構をより詳細に検討するために温度センサとなる薄膜(含有金属としてタングステンを選択)の抵抗の温度依存性を低温領域(〜2K)まで測定した。タングステンの含有量を変化させた結果、最も多いタングステン量である41.4at.%Wの薄膜で超伝導を観測した。さらに、この超伝導機構は薄膜中におけるタングステンカーバイドの存在に起因するものであることを明らかにした。このことは、同様の製膜手法により作られた薄膜が、金属含有量によってセンサのみではなく超伝導薄膜デバイスにも成りうる可能性があることを示している。
|
Research Products
(3 results)