2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03421
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
船本 健一 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体流体力学 / 数値流体力学 / 計測融合シミュレーション / フィードバック / 超音波計測 / カラードプラ法 / 動脈瘤 / 壁せん断応力 |
Research Abstract |
本研究は、血流の超音波計測と数値シミュレーションを一体化した超音波計測融合シミュレーション技術を確立し、血管内の血流場および血行力学の正確かつ詳細な情報を医療現場に提供することを目的としている。本手法では、計算領域内に定義したフィードバック領域内の複数のフィードバック点において、超音波により計測可能な速度情報(ドプラ速度)を基に、実際の血流場に対する速度場の計算結果の誤差を推定し、それに基づく信号をフィードバックして計算を行う。このフィードバックの適用により、計算結果を実際の流れ場に収束させる。 本年度は、これまでの知見に基づき、実際の血流場の状態である3次元非定常流の再現に対する本手法の有用性を検証するため、動脈瘤を有する血管内の実際の血流を模擬した基準解の再現に関する数値実験を行った。実際の超音波計測には時間分解能に制限があり、計算時間刻みに対して粗い時間間隔の計測しか行えない可能性がある。そこで、計測の時間分解能が不十分な場合におけるフィードバック方法について検討した。計測データが得られた時刻のみにフィードバックを行う間欠的な方法により、各タイムステップにおいてフィードバックを適用する方法と同じ計算精度が実現でき、有用であることが明らかとなった。ただし、計測の時間間隔を大きくするのに伴い計算が不安定になり易く、ゲインが比較的小さい場合においても解が振動したり計算が発散したりする現象が見られた。 動脈瘤内の速度場の誤差が最小となる条件において本手法の計算精度を評価すると、プローブを動脈瘤と同じ高さに1つ設定した場合に、速度場および圧力場の誤差は29%、58%にまでそれぞれ減少し、プローブを2つ用いると計算精度は一層向上し、誤差は8%、17%にまで減少した。壁せん断応力分布もフィードバックの適用により基準解のものに近づき、例えば平均壁せん断応力の最大値は誤差1%以下の精度で再現できた。
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Research Products
(1 results)