2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03431
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内山 馨 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 不飽和ケイ素化合物 / ジシレン / 官能性シクロトリシラン / 塩素置換シクロトリシラン / 求核置換 / テトラシラン / 光分解 / Si-Hのハロゲン化 |
Research Abstract |
一分子内に複数個のSi=Si結合(ジシレン)を有する一般的な合成手法は、現在までのところ知られていない。そこで、複数個のジシレンを有する分子の新しい合成法の開発を行なった。 ケイ素のみで構成された三員環(シクロトリシラン)は光分解反応によって、ジシレンを与えることが知られている。この見地からシクロトリシランを、ジシレンの前駆体ユニットと考えることができる。つまり一分子内に複数個のシクロトリシランユニットを導入し、光分解することで、共役したジシレンをもつ化合物の合成を行なうことができると考えられる。これまでに様々なシクロトリシランが知られているものの、その合成手法は限られている。そのため、シクロトリシランの光分解の選択性は明らかになっていない。本研究では新規な官能性シクロトリシランとして、塩素置換シクロトリシラン1の合成に成功した。化合物1は求核置換可能な塩素基を有するために、シクロトリシランに様々な置換基を導入できることが期待できる。実際に化合物1は種々の求核試薬との反応によって、新規なシクロトリシランへと誘導することに成功した。このようにシクロトリシラン上で三員環の開環を引き起こさずに、求核置換させた例は本研究が初めてである。 複数個のジシレンを有する分子の別の合成手法としては、部分化合物を構築し、それらを還元的に縮合させるという方法がある。部分化合物の必要条件は、嵩高い置換基および脱離基であるハロゲンを位置選択的に有することである。上記の条件を満たす部分化合物として、今回2位および3位に嵩高いシリル基を有する新規な1,1,1,4,4,4-ヘキサヒドロテトラシラン2の合成を行なった。また化合物2のSi-Hを、骨格のSi-Si結合を切断することなく臭素に変換することで、期待した部分化合物である1,1,1,4,4,4-ヘキサブロモテトラシラン3の合成に成功した。
|