2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03431
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内山 馨 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不飽和ケイ素化合物 / テトラシラシクロブテン / テトラシラビシクロ[1.1.0]ブタン / 光異性化反応 / 熱異性化反応 / 原子価異性化反応 / アルキル置換ジシレン / アリール置換ジシレン |
Research Abstract |
C_4R_6の組成を持つ原子価異性体の相互異性化はよく研究されている。一方Si_4R_6の組成を持つ分子には、シクロテトラシレン、ビシクロ[1.1.0]テトラシラン、テトラシラブタジエンなどの原子価異性体があり、それらの合成が報告されているものの、相互異性化の研究はほとんどない。先に我々は完全にシリル基で置換されたシクロテトラシレン1aを合成し、ビシクロテトラシラン2aとの間の相互異性化を見出した。 本研究では、ケイ素-ケイ素二重結合上に^tBu基および2-メチルフェニル(ο-tolyl)基を有する新規なシクロテトラシレンの合成に成功した。また、これらが対応するビシクロテトラシランに熱および光により異性化することを見出した。 1および2位に^tBu基を有する新規シクロテトラシレン1bは、トルエン中ブロモジクロロジシラン3bの金属ナトリウムを用いた還元縮合によって合成した。化合物1bは、二重結合上にアルキル基を有するシクロテトラシレンとして、初めての例である。同様に1および2位にο-tolyl基を有する新規シクロテトラシレン1cは、トルエン中ブロモジクロロジシラン3cの金属ナトリウムを用いた還元縮合によって合成した(式2)。ヘキサン中で1bの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、423nm(ε=5.02x10^3)にπ-π^*遷移に帰属される吸収帯が観測され、シリル基を有する1aのπ-π^*遷移に帰属される吸収帯(465nm)と比べると、42nmほど短波長シフトしている。不飽和ケイ素上のシリル基はアルキル基よりもπ-π^*吸収を長波長シフトさせるという一般的な傾向と一致している。 興味深いことに、1bは熱あるいは光反応によって二種類のテトラシラビシクロ[1.1.0]テトラシラン2bおよび2b'へと異性化した。本研究では、初めてシクロテトラシレンが熱異性化することを見出した。
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