2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性抗生物質ケダルシジンクロモフォアの全合成と生物活性発現機構の解明
Project/Area Number |
04J03434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 功 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エンジイン / ケダルシジンクロモフォア / C-1027クロモフォア / 還元的オレフィン化 / 臭化サマリウム / ジメシレート |
Research Abstract |
エンジイン系抗腫瘍性抗生物質は、その新規かつ強力な活性から、抗ガン剤としての可能性が注目されており、さらなる研究が望まれている。ケダルシジンクロモフォアと構造的類似の多いC-1027クロモフォアは、高度に歪んだ9員環エポキシエンジイン骨格を始めとする種々の官能基を有する複雑な天然物であり、未だ全合成は達成されていない。C-1027クロモフォアの全合成を達成できれば、ケダルシジンクロモフォアの合成に応用でき、詳細な活性発現機構の解明が期待できる。 C-1027クロモフォアの全合成に向け、当研究室ではエポキシドのオレフィン化によるトリエンジインコア部の構築に成功している。マクロライドを有する9員環ジインを合成し、ジオールからのエポキシド構築を種々検討した。しかし、マクロライドがあることで9員環が歪み、エポキシドを構築できないことが分かった。そこで新たに、ジオールをメシル化し、還元して一挙にオレフィン化する手法を開発した。モデル化合物の9員環ジインジメシレートを臭化サマリウムで処理すると、速やかに還元的オレフィン化が進行し、エンジインを観測することに成功した。エンジインは半減期が12分と、非常に不安定であった。本法の全合成への適用を目指し、マクロライドを有する9員環ジインジメシレートを合成した。臭化サマリウムで処理すると、芳香環化体を得ることができ、本手法の有効性が確認できた。しかし、ジメシル体はシクロペンタジエン部構築の反応条件で分解した。シクロペンタジエン部構築後のジメシル化は、基質が分解するのみだった。メシル基を有する基質は不安定であることが分かったので、メシルよりも安定で、被還元能の高い脱離基を検討した。その結果、ベンゾイルが適当であることが分かった。
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