2005 Fiscal Year Annual Research Report
非平面π-π相互作用を用いる合成自己組織体の構築と機能
Project/Area Number |
04J03439
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉浦 寛記 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘリセン / オリゴマー / 非平面π-π相互作用 / 会合 / 二重ラセン / ランダムコイル / スイッチング / CD |
Research Abstract |
光学活性ヘリセンとm-フェニレンを交互にアセチレン結合で連結したエチニルヘリセンオリゴマーはヘリセン間の強い非平面π-π相互作用により様々な分子会合体を形成する.その中で鎖状オリゴマーが溶液中で二重ラセン構造を形成することがわかっていた.今年度は鎖状オリゴマーの二重ラセン-ランダムコイル構造スイッチングについての研究を行った. 七量体の1mMトルエン溶液を55℃と10℃で30分間づつ交互に加熱・冷却を繰り返し,CDにより370nmにおけるΔεの経時変化を測定してΔε/timeアウトプットを得た.その結果,Δεは-200(55℃)と+1600(10℃)の間で変化した.Δε=+2000がラセン構造にΔε=-200がランダムコイルに対応することから,再現性よくラセン-ランダムコイル構造間でスイッチングできることがわかった. 七量体のスイッチングは濃度,温度および芳香族溶媒に強く依存した.例えば,トリフルオロメチルベンゼン中ではラセン構造の割合が高い範囲(Δε=+1880〜+2080)でスイッチし,チオアニソール中ではランダムコイルの割合が高い範囲(Δε=-180〜+90)でスイッチした.七量体は濃度,温度および溶媒のわずかな変化に応答して,スイッチングの挙動が大きく変化し,多様な形状のΔε/timeアウトプットを与えることがわかった. 二つの鎖状六量体を柔軟および剛直なリンカーで連結したオリゴマーを合成した.柔軟なリンカーをもつオリゴマーは分子内二重ラセンを形成し,七量体(1mM)に比べて低濃度(1μM)でスイッチングを行うことができた.剛直なリンカーをもつオリゴマーも分子内二重ラセンを形成したが,加熱・冷却による構造変化をほとんど起こさなかった.リンカー部の構造がラセン・ランダムコイル構造変化に大きな影響を与えることがわかった.
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Research Products
(3 results)