2006 Fiscal Year Annual Research Report
非平面π-π相互作用を用いる合成自己組織体の構築と機能
Project/Area Number |
04J03439
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉浦 寛記 東北大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘリセン / オリゴマー / 分子内二重ラセン / ランダムコイル / 可逆的構造変化 / 速度論 / 自己触媒 / 単分子膜 |
Research Abstract |
光学活性ヘリセンをm-フェニレンを介してアセチレン結合で連結した七量体は二重ラセンを形成し,ランダムコイル構造との間で可逆的構造変化する.また,六量体を柔軟および剛直なリンカーで連結したビス[ヘキサ(エチニルヘリセン)]は分子内二重ラセンーランダムコイル構造変化を起こし,構造変化がリンカーの構造の影響を強く受けることがわかっていた.今年度はビス[ヘキサ(エチニルヘリセン)]の分子内二重ラセン-ランダムコイル構造変化の反応過程についての知見を得る目的で,構造変化の速度論的解析を行った. CDを用いて370nmにおけるΔεの経時変化から,一次速度定数を求めた.ランダムコイル形成反応(解離反応)およびラセン形成反応(会合反応)ともにリンカーが剛直になると反応速度が低下し,剛直なリンカーは遷移状態のエネルギーを上昇させることを明らかにした.会合反応は温度の上昇に伴い速度が低下し,負の活性化エネルギーを与える珍しい反応であり,律速段階の前段反応として発熱の平衡反応を含んでいることが示唆された.また,会合反応は自己触媒的に進行し,解離反応とはヒステリシス現象を示すことも見出した.以上の知見をもとに,分子内会合反応は二分子二重ラセンを経由して進行する機構を提唱した. また,固体表面上での構造変化を溶液中と比較するために六量体および五量体をジスルフィド基で連結したビス[オリゴ(エチニルヘリセン)]を合成し,金基板上に吸着させ,固体表面上における構造変化について調べた.原子間力顕微鏡によって,六量体および五量体が厚さ約2nmの単分子膜を形成することを明らかにし,二重ラセン構造について重要な知見を得た.六量体は空気中80℃で加熱しても解離しないが,五量体は解離し膜厚が約0.9nmに減少した.六量体はベンジルメルカプタンを共吸着体として用いると,60℃で解離すること明らかにした.
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Research Products
(2 results)