2004 Fiscal Year Annual Research Report
鞭毛運動におけるシグナル伝達機構の解明:カタユウレイボヤ精子鞭毛軸糸成分の同定
Project/Area Number |
04J03455
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 裕公 東北大学, 大学院・生命科学研究科・学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | 鞭毛運動 / ダイニン / ラジアルスポーク / カタユウレイボヤ / 軸糸 / プロテオミクス / 精子鞭毛 / 運動制御 |
Research Abstract |
鞭毛・繊毛は、細胞が有する運動器官であり、細胞の遊泳や溶液の循環など、その機能は様々な生体にとって非常に重要である。鞭毛・繊毛の内部には、進化的に非常によく保存された骨格構造、"軸糸"が縦貫しており、モーター蛋白質であるダイニンが運動を発生させる。多様な蛋白質複合体が規則正しく配した軸糸中で、9方相称に配したダイニンが、平面上での波打ち運動を行う際の制御機構については、明確にそれを説明する論拠はない。 私はこれまで、波打ち運動におけるダイニンの機能制御に不可欠と目され、軸糸の中央部からダイニンの位置する周辺部にわたって位置する、ラジアルスポークという複合体に注目し、その解析を行ってきた。研究材料には、カタユウレイボヤの精子を用いた。複合体構成成分の同定を進めるため、まず、ホヤ精巣中で発現する遺伝子のEST解析の結果を利用し、単細胞生物で既知であったラジアルスポーク成分の、ホヤ相同遺伝子について解析した(Inaba et al.,2002)。さらに、そのうちの代表的な蛋白質RSP3のホヤ相同体が、ホヤ精子においても同様にcAMPと結合する機能を持つことを示し、ラジアルスポークに存在することを明らかにした。同時にこの成分に対する抗体を作製し、新規のラジアルスポーク成分、LRR37を同定した(Padma, Satouh (*equal first) et al.,2003,)。その後に、微量蛋白質から蛋白質同定を行えるよう、ホヤのゲノム/EST/cDNA情報をもとにデータベースを作製し、質量分析を用いた蛋白質同定の系を構築した(Hozumi et al.,2004)。その系を用いて、単離したラジアルスポークの部分複合体中から、HSP40、MORN protein、novel 33k proteinなどを同定し、その機能解析を行った(Satouh et al.,2005)。
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