2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03475
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山中 賢一 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子改変動物 / 体細胞クローン / ブタ / ドナー細胞 / レシピエント卵子 / リプログラミング / エピジェネティクス / 活性化 |
Research Abstract |
本研究では、体細胞クローン技術を利用してインスリン非依存型糖尿病の疾患モデルブタを開発することを目的としている。本研究は、1.遺伝子置換のためのターゲティングベクターの構築し、2.得られた遺伝子置換細胞を作製し、3.作製した遺伝子置換細胞を用い核移植によりインスリン非依存型糖尿病の疾患モデルブタを開発するという大きく分けて3つの過程からなっている。これまで、遺伝子改変細胞作製のためのターゲティングベクターの構築を行い、プロラクチン遺伝子を成長ホルモン遺伝子に置換するためにミニブタ胎子線維芽細胞へのベクターの導入を行ってきた。しかしながら、目的とする遺伝子改変細胞は未だ得られていない。そのため、今後ターゲティングベクターの再構築を行う必要があると考えられる。また、これまで電気穿孔法によりベクターの導入を行ってきたが、今後はリポフェクション法による導入も行っていく予定である。 遺伝子置換細胞の作製のための実験と並行して、本研究のもうひとつの核となる体細胞クローン技術の改良のための実験を行った。本研究では、目的とする遺伝子改変動物を効率的に作成するため、体細胞クローン技術を利用する。しかしながら、体細胞クローン動物の成功率は遺伝子改変動物の作製など非常に実用化が望まれているにもかかわらず、その成功率は動物種を問わず数%と非常に低く改善する必要がある。そこで、本研究ではまず核移植で用いられるドナー細胞およびレシピエント卵子の条件に注目し、クローン胚の発生能の改善を試みた。ドナー細胞では、そのドナー細胞核のアセチル化レベルと発生能の関係について調べた。継代数により細胞核のアセチル化レベルに変化が見られ、アセチル化レベルの高い細胞をドナー細胞に用いることでクローン胚の発生率が改善された。また、レシピエント卵子の体外成熟培養時間の違いにより、クローン胚の発生率が異なることを明らかにし、培養40時間成熟卵子をレシピエント卵子として用いることで高い発生能を有するクローン胚を作出できることを明らかにした。さらに、クローン胚の発生開始に必要とされる人為的活性化がクローン胚の細胞骨格系に与える影響を調べ、これまでの活性化法と比較して異常分割を抑制する活性化方法を決定した。以上の成果により、ミニブタクローン胚の発生能を向上させた。
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