2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造化された合金の相変態に関する研究(新しい機能性合金の創製)
Project/Area Number |
04J03517
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
矢部 洋正 東海大学, 開発工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナノ構造 / メカニカルアロイング / 非平衡 / 磁性合金 / 水素吸蔵合金 / FePd合金 / Mg-Ti-Cr合金 / 混合エンタルピー |
Research Abstract |
MgとTiは混合エンタルピー(ΔH)が正の組み合わせであり、2元系平衡状態図上では互いの固溶相は室温ではほとんと存在しない。しかしながら、MAによってMg中に20at%ものTiが強制固溶してA3相が出現することや[2]、Mg : Ti=50:50(at%)付近の組成においてはA2相が出現することが報告された[3]。このA2 Mg-Ti合金の格子定数は約3.4Åであり、水素吸蔵特性の報告はなされていない。しかしながら、Mg-TiにCrを添加したMg-Ti-Cr3元合金の合成を試み、約2.9-3.0Åの格子定数を有するA2構造を得、さらにこの合金が水素吸蔵特性を示す報告があり[4]、この結果はA2構造の格子定数が水素吸蔵の因子になっていることを示唆している。そこでMg-Ti-Cr合金の格子定数におよぼすCr量の影響について調べた。実験は、MgとTiの混合比率を50:50と一定にし、Cr量のみ変化させた。MAは試料とボール重量比を1:40、ポット水冷、Ar雰囲気でミリングを行った結果、(Mg, Ti)1-xCrxにおけるCr>5at%の組成において、2.89Å(A)と3.42Å(B)の2つの異なる格子定数を有するA2相が出現した。Cr量の増加に伴い(A)の比率は大きくなり、(B)の比率は小さくなった。Cr>60at%ではほぼ(A)のみが出現し、Crの添加がMg-TiのA2相生成に大きく寄与していることを確認した。そこで、他のA2元素であるFe, V, Moについても検討を行った。(Mg, Ti)_<95>M_5(M=Cr, Fe, V, Mo)のいずれの場合においても40時間のMAによって約3.4ÅのA2-Mg-Ti相が出現し、A2元素がMg-Tiの合金化に効果があることを見いだした。 [1]Journal of Magnetism and Magnetic Materials, Vol.310,March 2007,pp.2500-2502. [2]Liang et al.,J.Mat.Sci.,38(2003)1179. [3]浅野,榎,秋葉,日本金属学会2006年春期大会講演概要集,216. [4]久慈,日本金属学会2003年春期大会講演概要集,354.
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Research Products
(3 results)