2005 Fiscal Year Annual Research Report
周辺視色知覚における視覚的注意と視覚的短期記憶の寄与
Project/Area Number |
04J03542
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
葭田 貴子 東北大学, 電気通信研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 注意 / 周辺視 / ハプティック / ワーキングメモリ / 感覚・運動統合 / 注意による追跡 / マスキング / 変化盲 |
Research Abstract |
一般に触覚で2次元の比較的大きな対象を知覚する際には,手指の有効視野が狭いために,手指の運動情報による保障が重要であると考えられている.即ち,手指を動かしながら触対象の感覚情報をワーキングメモリ等のバッファに蓄積し,それらの情報を手指の運動情報をもとに統合することで,触対象の知覚が達成されるというハプティックの考え方である.また,一般に我々の視野は中心視と周辺視で異なる構造をしており,詳細な形態に基づく判断や色彩の知覚は周辺視の際周辺部にまでは及ばないことが示されている.しかし,我々の日常の視野はこれを感じさせない.これを説明するために,眼球運動しながら網膜中心部の情報を逐一視覚性のバッファに蓄積し,眼球運動情報をもとに統合することで,仮想の視野が脳内に生成されるという考え方がある.両者の共通点は,狭い範囲の感覚器情報を,記憶と運動による統合過程で補う点である.本研究ではこの時視覚と触覚でそれぞれバッファに蓄積される記憶内容と記憶項目数に着目し,このバッファが視空間性ワーキングメモリであると想定した上で,これら2つのモダリティにおいて能動的な空間探索中に保持可能な記憶項目数をそれぞれ求め比較した.その結果,視覚ではこの項目数は視空間的ワーキングメモリの上限に相当するが,触覚ではこれが1個前後と著しく低下することを発見した.また,この知見に対する複数の統制実験を現在も継続中である. さらに,近年の研究成果によれば,上記の視覚の例に挙げられる局所情報の採取と統合は,例え眼球が静止していても生じるという.例えばこれは,狭い覗き穴の向こう側を運動する対象を知覚する場合などが当てはまる.現在P.Cavanaghと共同で,この時は眼球運動に代わって視覚的注意が空間内を移動し,感覚情報を採取するという仮説を検証している.今年度はこれをPerception of objects on the flyと名付け,研究成果の一部を学会発表として公表した.
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Research Products
(6 results)