2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03698
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Research Fellow |
光藤 宏行 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 人間情報科学研究所, 日本学術振興会特別研究員PD
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Keywords | 立体視 / 遮蔽情報 / 視覚探索 / 両眼非対応特徴 / 両眼網膜像差 / 心理物理学 |
Research Abstract |
両眼立体視における両眼・単眼遮蔽情報の役割を明らかにするために、成人を被験者とした、2組の心理物理学的実験を行った。一つ目の実験では、視覚探索課題を用いて、両眼遮蔽情報すなわち非対応特徴による奥行きが視覚情報処理の初期段階で符号化されているかどうか検討した。本実験では、課題に無関係な奥行きノイズを探索画面に付加し、奥行きをもつ目標刺激が短時間提示される探索画面に含まれているかどうかを判断することが被験者に求められた。その結果,目標刺激の理論的奥行きを両眼網膜像差条件と両眼非対応条件間で等しくしたにも関わらず、両眼非対応条件での探索は容易であることが確かめられた。この結果は、視覚情報処理の初期段階で非対応特徴による奥行きが生成されていることを示唆する。二つ目の実験では、両眼視事態での大きさ知覚への単眼遮蔽情報の影響を調べた。より具体的には、単眼遮蔽情報が両眼視事態での形態知覚に寄与しているという仮説を検討した。本実験では、被験者は遮蔽物の後ろに知覚される物体の横幅を調整法で報告することが求められた。5つの下位実験の結果から、a)遮蔽物の両眼網膜像差がないときには、遮蔽された物体の幅は縮小して知覚される、b)遮蔽された物体の大きさ知覚は遮蔽物の両眼網膜像差量の影響を受けない、c)単眼遮蔽情報が存在しないときには遮蔽された物体の知覚的な縮小は生じないことが確認された。この結果は、視覚系が単眼遮蔽情報を利用することで、両眼視事態での正確な形態知覚を実現していることを示唆する。
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Research Products
(4 results)