2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03698
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Research Fellow |
光藤 宏行 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 人間情報科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 立体視 / 遮蔽情報 / 両眼間非対応情報 / 錯視 / 回旋両眼網膜像差 / コントラスト |
Research Abstract |
成人を被験者とした二組の心理物理学的実験を行った。一組目の実験では、両眼間非対応情報に基づく主観的遮蔽面を符号化する機構を調べた。視覚刺激には非対応領域を有する複数の種類の垂直線分要素を用い、刺激全体に両眼間非対応ノイズが加えられた。観察者の課題は、両眼間非対応領域をもつターゲットが呈示された象限を報告すること(4肢強制選択)であった。各ノイズレベルで、正答率が75%となるコントラスト閾値が測定された。その結果、非対応線分のペアが遮蔽関係を満たしている条件では、線分ペアが遮蔽関係を満たしていない条件および単独の非対応線分が呈示される条件より閾値が低かった。この結果から、両眼非対応情報に基づく遮蔽面は生態学的に妥当な遮蔽関係を考慮した"鋳型"によって符号化されていることが明らかとなった。二組目の実験では、奥行き構造が固視方向の影響を大きく受ける錯視を調べた。具体的には、円弧より構成される平面図形を、眼位を変化させて両眼固視する場合、(a)極端な上方または下方固視で安定した奥行き不連続が知覚され、(b)奥行き方向は上方・下方固視で反転し、(c)固視角度が一定の値を超えると奥行き量は急激に増加することを発見した。知覚される奥行き構造は、眼位変化によって引き起こされる回旋両眼網膜像差の水平誤対応に基づく予測と一致した。これらの特性は、両眼回旋が立体視に最適化されている固視範囲は十分に広いけれども、明確な限界をもつことを示唆する。
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Research Products
(2 results)