2004 Fiscal Year Annual Research Report
水の遠隔電磁探査にむけての含水岩石の誘電分散の研究
Project/Area Number |
04J03714
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松本 裕史 富山大学, 理学部・地球科学科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 誘電分散 / 電磁探査 / イオン伝導 / 含水岩石 / 四電極法 / インピーダンス測定 |
Research Abstract |
本研究は含水岩石の複素誘電率の性質を物性測定により明らかにして、複素誘電率の観測による地殻内の水の遠隔探査の可能性を探ることである.岩石が低周波で誘電率が周波数に反比例する「1/f型誘電分散」(と呼ぶことにする)の例が報告されておるが、本研究ではこの現象に着目し、これまで研究例の少ないkHz以下での岩石の誘電率の性質の解明に取り組む. 1.多チャンネル複素誘電率測定システムの構築 AD変換ボード、信号発生器、PC(補助金により購入)を用いて多チャンネル複素誘電率測定システムを構築した.信号雑音比に基づく測定誤差の評価ルーチンの作成とその検証を行った. 2.測定法セルの作成 四電極法測定において電位電極と試料の界面に電流が流れると分極が生じる.電位電極を絶縁性のスリットの置くに配置する方法で分極によるバイアスを10^<-4> radian程度に抑制できた. 3.岩石試料の測定 砂岩などの岩石をNaCl水溶液で飽和させ状態で測定を行い、報告された1/f型誘電分散が実際に起こることを確認した.誘電分極の原因として、鉱物間の薄い水層がバルクの水と異なる輸率を持ち濃度分極を生じること、鉱物表面と水の間を電流が流れ電気化学反応が起きることなどが考えられる.ボールミル(補助金で購入)で破砕したガラスの粉末を焼結して小さな空隙を持つ試料を作り空隙率と複素誘電率の関係を調べたところ、特に空隙率の小さな試料では低周波の誘電分散が見られた.今後誘電率と空隙率などの定量的関係を明らかにしたい. 4.固体試料の測定 固体試料の複素誘電率測定例は少ない.2.の考えを応用してガラスをバッファに用いた四極測定法を考案してonyxの測定を試みたところ、試料とガラスの電気的結合を良好にすることが難しいため試料の実効的断面積が小さくなる問題があるものの妥当な測定結果が得られ、固体試料の四極法測定の目処をつけた.
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