2005 Fiscal Year Annual Research Report
水の遠隔電磁探査にむけての含水岩石の誘電分散の研究
Project/Area Number |
04J03714
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松本 裕史 富山大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 誘電分散 / 電磁探査 / イオン伝導 / 含水岩石 / 四電極法 |
Research Abstract |
含水岩石はほぼ純コンダクタンスであると考えられてきたが、誘電率εが周波数fの逆比で増加する1/f型の誘電分散を示す可能性がある.この現象を解明して地殻内の水の電磁探査に資することが本研究の目的である. 1.複素電気容量測定における浮遊容量の影響の抑制 複素電気容量測定におけるバイアスの主な原因が電位計測用の増幅器の入力容量と、試料と増幅器の間の接触インピーダンスであることを突き止め、これらの影響を等価回路で表現して補正する方法を開発した.補正により容量成分のバイアスを0.5pF以下に抑制できた.この手法を纏めた論文を投稿中である.この手法により高温乾燥条件で鉱物結晶の複素誘電率測定を行う予定である. 2.岩石試料の複素誘電率測定 砂岩や断層岩などを塩水で飽和した状態で測定し、1/f型の誘電分散は特別な試料に限らない普遍的な現象であることを確認した.誘電分散が起きる周波数領域での角度φ(損失角の補角;誘電性の大きさを表す量)は試料の電気伝導度σが大きいほど小さくなる傾向があった.これは空隙率の差による粒界水の量の差と導電機構の違い(次節参照)を反映していると考えられる. 3.ガラスビーズと水の系における誘電分極の原因の解明 粒径1mmのガラスビーズとNaCl水溶液の系を用いて飽和度Sによる複素誘電率の変化を調べた.S<0.1ではガラスと水の界面の電気二重層を流れる電流が支配的で、誘電性の大きさ(φ)は電流量と強い相関があった.電気二重層は層と並行な方向に対して純コンダクタンスではなく1/f型分散を生じるようなキャパシタンス的性質を持つと考えられる.S>0.1ではφはσの対数に比例して減少し、これは飽和度の増加によりバルクの水を流れる電流が増加して電気二重層の性質が相対的に小さくなるためだと考えられる.
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