2004 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ中における、非熱的高エネルギー粒子の加速機構について
Project/Area Number |
04J03718
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齊藤 慎司 富山大学, 工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽フレア / 粒子加速 / 粒子シミュレーション |
Research Abstract |
太陽フレアの発生原因のモデルの一つとして考えられている電流ループ衝突モデルをもとに粒子加速メカニズムについて、相対論的粒子シミュレーション・コードを用いることによって、どのような加速機構でどの程度加速されるのか、ということに重点をおいて調べた。この研究によって得られた主な結果は以下の通りである。 1.電流ループの衝突面において薄い電流層が生じ、この電流層内において磁気再結合が引き起こされる。この時、一部の電子が加速され、約数十keV程度までのエネルギーが得られることがわかった。 2.電流ループが互いに衝突することによって、それらの後方に磁気音波という波が励起された。この波の非線形効果によってsurfatron加速というメカニズムが働き、イオンが強く加速される。この時約10MeV程度までイオンのエネルギーが増加することがわかった。 3.電流層内で加速された電子が電流層外へ飛び出し、電流ループを構成している周辺磁場中において、その磁場に対して垂直方向の静電場を励起した。この静電場と磁場の作用によって特にイオンが強く加速され、surfatron加速と同程度の約10MeVまで増加することがわかった。 これまでフレアの観測において、加速電子と加速イオンはほぼ同様なメカニズムで生じていると考えられていた。しかし近年打ち上げられたRHESSIという観測衛星によってγ線(主にイオンの加速を示す)の空間分布を観測できるようになると、空間的に異なる場所でX線とγ線が励起されていることがわかり、フレアにおいて電子とイオンの加速メカニズムが異なるのではないかと考えられるようになった。本研究で得られた結果は、電子とイオンが異なる領域、異なるメカニズムで加速されるということを示しており、近年になって得られた結果に矛盾しない。またシミュレーションで得られたそれぞれの粒子の加速エネルギーは太陽フレアで生じるそれぞれのエネルギーに充分匹敵するものであることがわかった。
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Research Products
(2 results)