2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03778
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 健太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 超弦理論 / PP波背景 / 行列模型 / AdS / CFT対応 / D-ブレイン / 可解スピン鎖模型 / 可能性 |
Research Abstract |
AdS_5xS^5上のタイプIIB型超弦理論の古典可積分性について調べた。この古典可積分性は、近年、Bena-Polchinski-Roibanにより指摘された。Metsaev-Tseytlin形式のAsS上の超弦理論において、無限個の保存するnon-localな電荷の存在が示された。しかしながら、この形式では、AdS空間上の超弦の拘束条件を取り扱うために困難があり、その電荷のκ不変性や、電荷のなす代数関係式は得られていなかった。我々は、Metsaev-Tseytlin形式と等価であると考えられているRoiban-Siegel形式のAdS上の超弦を考えることにより、κ不変な無限個の保存するnon-localな電荷を構成した。この形式の利点は、AdS上の超弦に付随する拘束条件をきちんと取扱うことができることにあり、我々はその利点を利用した。そして、さらにその電荷のなす代数関係式を求め、超Yangian代数を満たすことを示した。また、古典的r-matrixの導出も実行し、Yang-Baxter方程式を満たすことを示した。つまり、Roiban-Siegel形式におけるAdS上の超弦の古典可積分性を陽的に示した。 また、AdS空間中にD5-ブレインが含まれる場合におけるAdS/CFT対応の検証をした。この場合には、D-ブレインに端を持つ開弦の自由度がAdS側に導入されることになり、この開弦セクターに対して、AdS/CFT対応を考えることができる。近年、BPSセクターから大きく離れた領域でのAdS/CFT対応の研究が盛んになされており、この領域での解析では可解なスピン鎖模型が重要な役割を果たす。我々の考えたセットアップでは、開いた可解なスピン鎖模型が現れる。我々は、SO(3),SU(2),SL(2)の各セクターに注目し、このスピン鎖模型のエネルギーの解析をした。このエネルギーは弦の古典解のエネルギーと比較できるものであり、開弦の場合にも閉弦セクターの場合と同様に、2-loopレベルで一致するが、3-loopレベルで一致しないことを示した。また、開弦の古典解は閉弦の古典解の部分集合であることを明示し、どのような場合に閉弦の古典解から開弦の古典解が得られるかを示した。特に、スピン鎖の解析で現れるリーマン面の言葉では、偶数カットの配位に対応する解が開弦にできる解になっていることを示した。
|
Research Products
(7 results)