2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ秒オーダー時分割XAFS法による活性種のダイナミクス挙動解明研究
Project/Area Number |
04J03780
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 あかね 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | XAFS / 時間分解 / 構造変化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、従来捕捉不可能であった短寿命の触媒活性種中間体、その構造変化を原子レベルで解明し触媒反応の本質に迫ることである。このような触媒活性種の構造変化をin-situで実時間かつ高分解能で追跡出来れば、触媒反応の分子レベルでの解明および新機高活性触媒の開発に大きく寄与する。そこで、触媒反応でも特に水素吸着に伴う骨格変化に着目した。 水素は金属表面に解離吸着し、表面の構造相転移を引き起こしたり電子状態を変化させたりする。また、様々な化学種と化学反応を引き起こすなど、触媒化学において最も重要で基本的な吸着種である。Pt金属微粒子の場合、その吸収端のwhite lineのpeak強度や形状は、担体の種類やガス吸着により変化することがこれまでに報告されているが、XAFS解析に適した1wt%以上の担持量で高分散触媒を合成出来うる例が全く無く、またその構造は未知のままであった。そこで私は触媒合成をするための環境を放射光科学研究施設に整え、3.5wt%のPtという極めて濃度は高いが高性能なPt/MCM-41触媒の合成に成功した。XAFS実験より、還元状態ではPt-Pt距離が0.273nmのナノ構造であり、そこに室温で酸素を触れさせると180秒後までにクラスターは分散され、一旦排気した後水素を触れさせるとガス導入時から800秒後に再びナノクラスターが生成される。またこのようなPtへの水素吸着及び脱離が室温で高い再現性を持っていることが分った。また、両過程ともに中間体を持ち、ヒステリシスがあるという非常に興味ある挙動が世界で初めて明らかになった。また、良質のXAFSスペクトルを得るために均質な試料調整を行える調整器や反応実験に使用するセルを開発した。 今後この触媒を用い、水素吸着/脱離に伴うPtナノクラスターの構造変化をDXAFSで追跡する。
|