2005 Fiscal Year Annual Research Report
六波羅探題の国家的機能の展開と公家政権・王権との関係の研究
Project/Area Number |
04J03837
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 英一 神戸大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 六波羅探題 / 公家政権 / 鎌倉幕府 / 寺社紛争 / 嗷訴 / 王権 |
Research Abstract |
今年度も昨年度に引き続き史料の収集作業を進めるとともに、研究課題のうち、(1)鎌倉時代の寺社紛争における六波羅探題の機能・役割とその変遷、(2)六波羅探題の西国支配機構の形成過程とその背景・影響、以上の2点について主に研究を行った。 まず史料収集については、『鎌倉遺文』所収の『勘仲記』裏文書全点を複写・整理した。また、国立歴史民俗博物館所蔵『兼仲卿記(勘仲記)』原本の紙焼き写真を購入し、日記・裏文書それぞれの一部について、『増補史料大成』・『鎌倉遺文』所収分の校訂や未収史料の翻刻、データベースの作成作業を進めている。その他、本研究に関連する活字史料を『大日本史料』や古記録などから検索し、整理した。 次に(1)については、昨年度の大阪歴史学会中世史部会9月例会における口頭報告で得た意見・批判を踏まえて、史料の補足や見解の修正を行い、論文の執筆を進めた。 また(2)に関連して、治承・寿永内乱期における鎌倉幕府権力の形成の実態に関する著作の批判的検討を行い、六波羅探題成立の前提状況の把握に努めた。これにより、承久の乱後における幕府・六波羅探題の畿内・西国支配のあり方を探るヒントが得られたことは収穫であった。この成果の一部は、日本史研究会中世史部会・大阪歴史学会中世史部会2月合同部会において口頭報告した。 その他、史学合の依頼により「2004年の歴史学会-回顧と展望-」の「日本 中世 二、政治・法制 鎌倉期」の項を執筆した。また昨年研究を行った、平安末〜鎌倉中期における京都大番役と内裏・王権との関係及びその変質についての成果は、平安京・京都研究会編『院政期の内裏・大内裏と院御所』(文理閣、2006年刊行予定)に、「王権・内裏と大番」の題で公表される予定である。
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Research Products
(1 results)