2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶性ポリマーのマルチスケールモデルの構築による変形挙動の評価と高機能化
Project/Area Number |
04J03950
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内田 真 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 結晶性高分子材料 / 数値シミュレーション / マルチスケールモデリング / 均質化法 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究では,軽量且つ加工性に優れる結晶性高分子材料を構造部材として適用するために必要不可欠な,力学応答を表現可能なモデルの構築を行っている.まず初めに,結晶相と非晶相の複合相である結晶性高分子材料の微視構造に対して,非晶相における分子鎖やそのからみ点の密度の不均一性が変形挙動に及ぼす影響を調べた.その結果,非晶相では強度の低い領域を最大せん断応力方向へつなぐ形で,多数の微視的なせん断帯が生じ,それらが分子鎖の配向硬化により周囲へ伝播していくことがわかった.さらに結晶相と非晶相の界面では,せん断帯が到達した点を起点として生じたうねりが,変形の進行に伴って,結晶相の分子鎖方向や結晶化率に強く依存して進展することがわかった. 次に,結晶性高分子材料の複雑な階層性を考慮し,各スケールにおける構造と変形を表現するために,均質化法に基づく大変形有限要素法を適用したマルチスケールモデルを構築し,結晶性高分子材料の微視からメゾ領域における変形挙動を,数値シミュレーションにより評価した.その結果,等方性を有する応力ひずみ関係が応力状態や結晶化率によって変化すること,微視構造の変形は分子鎖や界面の方向に依存した強い異方性を示すこと,メゾ領域においては,それぞれの微視構造が異なる方位を有する周囲の領域と相互作用を及ぼし合うことで局所的な変形領域を形成し,変形の進行に伴ってこの領域が周囲へと伝播していくことがわかった.
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Research Products
(6 results)